台湾 千客万来を望みつつ…
ゴールデンウィークということで、観光の話です。
日本もそうですが、台湾でも観光業は大事な産業です(写真は九份)。
コロナ禍が和らいだことで、台湾政府は2024年に台湾を訪れる観光客数の目標を1200万人と設定しました。コロナ前と同水準です。
ところが、1年の3分の1ほどが過ぎた現時点で、その目標達成は困難だとして1000万人に引き下げるべきだという声が出ています。
最大の理由は、中国が台湾への旅行を止めているためです。
個人旅行はコロナ前の2019年から、団体旅行はコロナを受けてです。
これは台湾経済には痛手。
ところが、ここに来て中国政府が少しばかり団体旅行を解禁したのです。「おお、そうか!」と台湾側は諸手を挙げて歓迎…ともいかないようで。
福建省から馬祖島へはOKに
中国政府は4月28日に福建省の住民が台湾の馬祖島を訪れることは解禁すると明らかにしました。
馬祖島、正確には小さな島々からなる列島です。どこに位置するのかというと、こちら ↓ で確認してみましょう。
台湾本島からは北西に約200キロ離れているのに対して、福建省からは10キロほどしか離れていません。
中国に対する防御の最前線として台湾の軍事施設が多くありますが、観光地でもあり、海が幻想的に青く光る「青の涙」が有名とのこと。
なぜ海が光るのか不思議。実際に見てみたいです。
中国の揺さぶりか
福建省から馬祖島に再び観光客が来始めるのは台湾側にとっていいニュースなはず。ですが、「喜びも中くらいなり」とならざるを得ないのは、中国政府がこれを蔡英文政権に伝えたのでなく、訪中している最大野党・国民党の立法委員(日本でいえば国家議員)17人のグループに伝えたためです。
これをどう受け止めればいいのか、台湾政府としても微妙なところ。
日本メディアの伝え方は総じて「習近平政権としては、親中路線の国民党をさらに取り込み、台湾の人々に『国民党が政権を奪還したほうが経済的な恩恵が大きい』と思わせる揺さぶり」という見方です。
総統選・立法委員選の前にも、この手の揺さぶりはみられましたね。
このとき話題になったのは「釈迦頭」というフルーツの輸入再開でした。今回も、馬祖島への観光再開とともに文旦(ブンタン、あるいはザボン)などの輸入再開がセットでついてきました。
5月20日には台湾で頼清徳総統が就任するわけで、それを前に中国が「台湾の民意を代表している」とみなす国民党を厚遇したのは確かです。あるいは、「国共合作」による民進党への嫌がらせというか。
一方で、台湾政府からは、ここでムキになって反発するよりも、自分たちもストップさせている中国への団体旅行を解禁するきっかけにしたほうが賢明という声も出ています。
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