ROIC #2：基本的な計算式と簡易計算シート

＜読了目安時間：10分＞

ROIC特集第二弾では、ROICの基本的な計算式と簡易計算シートをご紹介します。

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ROIC特集
#1：ROE、ROAとの違い
#2：本記事
#3：計算式の解説と留意点

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東京証券取引所が "資本コストを意識した経営" を上場企業に求める中、以前から個人投資家にも知られていた自己資本利益率（Return on equity、以下ROE）に加え、投下資本利益率（Return on invested capital、以下ROIC）への関心が高まっています。

ROICは資本コストと組み合わせることによって企業の価値創造の力をはかることができることから、企業価値の増大を期待する投資家（特に長期投資家）にとって非常に重要な指標と言えるでしょう。

第一弾の記事に続き、この記事ではROICの計算式をご紹介します。ROICには分析目的や解釈の仕方によって色々な計算式があるのですが、初学者が最初からいくつものパターンを提示されても困惑すると思いますので、この記事では基本的な計算式を取りあげます（色々なパターンのROICは第三弾の記事にて）。
また、理論だけご紹介しても漠然としてしまうので、ダイキン工業を例に具体的な数字を計算します。

この記事の最後でご紹介する簡易計算シート（Excel）では、決算書の数字を当てはめるだけでROICを計算できるようにしていますので、皆さんが興味のある企業でROICを算出してみてください（例としてダイキン工業の数字を入れていますが、会計基準の違いなどから多少の読み替えが必要な点にご留意ください）。

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✅ ROICの分子：税引後営業利益の計算

ROICは分子に税引後営業利益、分母に投下資本で定義されます。

税引後営業利益はNOPAT（Net operating profit after tax、読み方：ノーパット）と表記されることが多いので覚えてしまいましょう。NOPLATという別の言葉もあるのですが、これは細かい話なので第3弾の記事で取り扱います。

営業利益の算出

まず、NOPATの計算式は以下の通りです。実はこの定義式にも色々なパターンがあるのですが、ここでは以下の代表的な式を取りあげます。

ここで、営業利益と税金の2つをどのように計算するかがポイントです。

本業の利益を表す営業利益は、決算短信の表紙や損益計算書（P/L）に直接書かれているケースが多いので、そこから数字を持ってくればOK。

出典) ダイキン工業決算短信、2024年3月期

出典) ダイキン工業決算短信、2024年3月期

決算短信の見方がそもそも分からないという方はこちらの記事をご覧ください。損益計算書って何だっけ？という方はこちらの記事をご覧ください。

営業利益が記載されていない企業や理解を深めるために営業利益を自分で計算する場合は、以下の一般的な計算式に従って算出してください。なお、ここでの販管費には減価償却費を含みます。

自分で計算すると言っても、売上原価や販管費（販売費及び一般管理費）という項目すら決算書に書かれていないケースもあるので一筋縄ではいかないかもしれませんが、営業利益の基本的な導出を覚えておくことは決算書の理解に繋がるでしょう。

実効税率の算出