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【経済解説】今週の見通し(7/3〜7/7)

【日本株】

◆ 概要

月曜の寄付前に予定されている四半期公表の日銀短観で良好な結果が示されれば、株高を支える材料となりそうです。特に大企業製造業の景況感回復が焦点となります。2月期の企業決算発表などが徐々に増えてくる時期ですが、今週で言えば、安川電機や良品計画あたりが注目決算となるでしょう。

◆ 経済指標

日銀短観(7/3月、8:50公表予定)
大企業や中堅企業、中小企業を対象とし、景況感や設備投資、業績見通しなど広範な項目を調査する四半期公表の経済指標です。「日銀短観って何?」という基本的な解説はこちらのnoteをご覧ください👇

市場予想は、製造業・非製造業のいずれもにおいて、現況・先行きともに改善予想です。非製造業の好調さはこれまで通りであり特にサプライズ感はありませんが、(大企業)製造業が改善となれば7四半期ぶりとなるため、それなりにインパクトのある結果となるでしょう。
前回4月公表時点の結果を以下に示します👇

大企業製造業の景況感悪化が続く

◆ 企業決算

安川電機(7/7金、大引け後予定)
サーボモータやインバータで世界首位級、産業用ロボットも世界有数の大手メーカーです。2024年2月期決算の第一四半期となります。
今期通期の会社予想は前年比増収減益、アナリスト予想も増収減益(減益幅はわずかにアナリスト予想の方が大きい)となっており、業績に足踏み感が見込まれています。

ただ、2025年2月期のアナリスト予想は増収増益を見込んでおり、市場もそれを加味して株価は2021年の高値を既に大きく超えています。
今期は多少落ち込んでも来期は改善するとの見立てで上昇していると言え、今回の決算において仮に悪い結果が示されたときに、株価がどのように反応するかが焦点となるでしょう(現在の地合いから、決算内容がよければ順当に評価されるだろうと考えられるため)。

今月後半から本格化する3月期決算企業の試金石となります。

【米国株】

◆ 概要

月初めということで毎度のことにはなりますが、ISM指数やJOLTSなどの経済指標を見つつも、金曜の雇用統計に向けて様子見の展開が見込まれます。特に、今月は独立記念日による短縮取引と休場を挟むため、様子見の度合いが強くなりそうです。企業決算は特に注目に値するものはなく、経済指標とFOMC議事要旨、FRB高官等の発言を抑えておきましょう。

◆ 経済指標

・ISM製造業景気指数(7/3月、23時公表予定)
・ISM非製造業景気指数(7/6木、23時公表予定)

製造業の総合指数は前回46.9から今回予想46.3と低下傾向が続く見込みです。非製造業は前回50.3から今回予想51.3と改善すると見られています。
下記の画像に示すように、直近の結果では製造業の苦境が鮮明であり、頼みの非製造業も低下トレンドの中で景況感の分かれ目となる「50」以下での推移となる日が近いのでは?と警戒されています。

先月の結果、製造業と非製造業共に厳しさ増す

製造業は、景気の先行指標とも言われる「新規受注」が特に厳しく、現況が単に悪いという意味合い以上に、数ヶ月先の景気にも警戒感が広がります。もっとも、在庫の調整も進んでいることから新規受注の反発もそう遠くないとの見方もありますが、まだ反発の傾向は見られておらず、少なくともISM景気指数を見る限りでは製造業の苦境が続くと考えられます。

非製造業はこれまで海外需要が好調で、総合指数の内訳となる新規受注指数や輸出指数が突出していましたが、直近では低下傾向とやや冴えない様子です。ISMに類似する景況感指標のひとつである「PMI」でも非製造業の好調さに陰りが見えています。今回は前述のとおり改善する見込みですが、全体の低下トレンドを転換させるほどの勢いはなく、目先の停滞感は否めません。

経済指標の結果を受けた株式の動きを正確に予測することは出来ませんが、金利は比較的素直に動きます。2年物米国債利回りや10年物米国債利回りの変化を見つつ、株価の動向に注目すると良いでしょう。

なお、ISMの結果は速報ツイートする予定です。

雇用統計(7/7金、21時30分公表予定)
今回も市場は前回から弱い結果になると見込んでいます。ただ、最近は「弱い予想」に対して「強い結果」が示されることもしばしば。"結果は蓋を開けてみないと分からない" という状況が続いており、雇用統計前日のADP雇用統計と同様にあくまで参考値として捉えておくと良いでしょう。

もっとも、求人件数は漸減傾向にあります。米大手求人サイトのインディードにおける求人件数では、6/23に公表された直近の結果でも低下傾向の継続が示されています。求人件数自体はまだ高水準ではありますが、労働市場の緩みを意識させるデータです。

なお、求人件数を示す経済指標の代表格として知られるJOLTSも今週木曜に公表予定ですが、JOLTSはやや速報性に欠けるためあくまでこれまでの傾向を再確認するという使い方にとどまります。

今回の雇用統計では失業率がやや改善する予想であるものの、中期的に見て失業率が上昇する可能性はFRBも認識しており、あとはその兆候がいつ見られるのか?あるいは、その悪化スピードがどのくらいであるのか?が焦点となるでしょう。

労働参加率が徐々に回復している点も、求人件数の減少とあわせて先々の労働市場の緩みを意識させる材料となります。

前回の結果

◆ その他イベント

FOMC議事要旨(7/6木、午前3時)
前回6月開催分の議事要旨です。利上げの一旦停止を決めた会合での議論が記載されており、利上げ停止の期間や先々の利上げ回数などを巡りFOMCメンバー間で意見の対立が見られるか?といった点が注目を集めます。
ただ、FOMC自体は既に通過したイベントであり、また、パウエル議長をはじめとして複数のFOMCメンバーが既に発言をしていることからサプライズには至らない公算が大きいです。議事要旨の結果につきましては、同日の「あさメモ」で取り上げますので、Twitterにてご覧頂ければと思います。

FRB高官等の発言
この記事を書いている7/1夜時点での予定は以下の通りです。
7/6木、5:00 ウィリアムズ(NY連銀総裁)
7/6木、21:45 ローガン(ダラス連銀総裁)

【その他】

◆ 経済指標

ユーロ圏生産者物価指数(7/5水、生産者物価指数)
消費者物価指数に先行する指標として知られる「生産者物価指数」ですが、今回は前年比マイナス圏入りとなる予想です(前月比は以前からマイナス)。消費者物価指数の総合値は既にピークアウトが顕著であり低下傾向にあるため、生産者物価指数がマイナス圏入りすること自体に不思議はありません。あとはその "度合い" とコアインフレへの抑制効果がいつ反映されるのかが焦点となります。


以上が今週の見通しです。
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