見出し画像

社会人生活のこれから(将来)を考える

さて、先日は就職した方々と温泉旅行に行ってきました。コロナ前は毎年行っていた旅行もすっかり行けなくなり、4年ぶりの開催となりました。20名ほどの就職者と出かけた温泉旅行はたくさん笑わせてもらい、仕事でこんなに笑ったのも久々かもしれないです(笑)。

楽しかった思い出に浸りながら、皆さんともに2日間を過ごしたなかで感じたことも含みつつ、将来のことを考えてみたいと思います。

就職後の社会人生活

就労移行支援などの就労系福祉サービスを経て就職する人は年々増加傾向で、障害者雇用者数で見ると現在は約61万人(引用:厚生労働省)となっています。
うちのジョブジョイントおおさかも開設12年(2拠点)で190名が就職し、今年度も20名ほどが就職予定です。

このnoteでも何度か書いてますが、就職はゴールではなくスタートです。就労支援者はついついゴールと思ってしまいがちですが、就職してからの人生のほうが長いですし、その分色んな事もあるわけですから、「社会人生活の充実」を支援者として気にかけることは何より大事な支援であると思います。

幸せとはなにか?

最近、「ウェルビーイング」という本を読みました。知人の勧めもあって読んだんですが、なかなか良かったです。

本書では、ウェルビーイングについて「「健康」と「幸せ」と「福祉」のすべてを包む概念」との記載があり、障害福祉の「福祉」も含む言葉で書かれていました。

本書ではポジティブ心理学についても引用があり、ペンシルベニア大学教授のマーティン・セリグマン氏が提唱した「 PERMA」のことが解説されていました。

P:ポジティブ感情
E:物事への没頭(エンゲージメント)
R:他者との関係性
M:生きる意味
A:達成、何かを成し遂げる

上記で気になるのは「R:他者との関係性」でしょうか。

本書では、幸福度を下げる一番の要因は「孤独」「孤立」とも書かれていて、就職したOBの方の話を聞いていても、職場と自宅の往復が多くなり「孤独」「寂しさ」を感じると言う方は多いように思います。

「幸せとはなにか?」

福祉の分野では、「QOL(生活の質)」を重要な指標の一つとすることは多いですが、社会人生活が充実していくために他者との関係性をより良くすることは大事な視点でもあると思います。

福祉サービスでできること or できないこと

先日の温泉旅行では、就労定着支援事業のひとつとして行ってきました。つまりは、うちの事業所で就労移行支援を利用後に就職した人限定の旅行です。

宿泊などの参加費は各自で負担してもらいましたが、職員の付き添い分などはこちらで負担し、就職した方とスタッフも知った仲ということもあって福祉サービス内でのイベントでもあったと思います。

ただ、僕らは就労移行支援や定着支援などのいわゆる就労支援をする事業所なので、生活支援や余暇支援を行うには少々限界があります。就労定着支援は月1回の定着支援をするものでもあり、今回の旅行も月1回の支援のひとつと位置付けての実施でもありました。

障害の有無に関係なく、学校を卒業して社会人生活が始まると「孤立」「孤独」を感じる人は近年多くなっているのかもしれません。就職した皆さんの話を聞いていても、習い事、サークル、溜まり場のような場所が社会資源として豊富にあるわけではなかったり、SNSなどの発展もあって地域での交流も希薄になり、人との繋がりが持ちにくくなっているようにも思えます。

福祉サービスとして利用者還元は大事である一方で、地域や社会で頼れる場所が増えることで一人ひとりの社会人生活の充実感に繋がるとなれば、地域や社会が人々の「関係性」を充実させることも大事なことなんでしょうか。

「依存先」がキーワード!?

温泉旅行では、普段の定着支援での定期面談とは違う形で皆さんから色んな話を聞かせてもらいました。普段の仕事のこと、私生活のこと、将来のことなど、一人ひとりやりたいことや楽しみたいこと、今をより良くしたいことはたくさんあって、来年は「道後温泉に行きたい」「ディズニーランドに行きたい」「飛行機に乗りたい」など、旅行中も皆さんからいろんな要望がありました。

また、今回の旅行に限らずですが、一部の就職した方は「恋人が欲しい」「結婚したい」「一家の大黒柱になりたい」など、パートナー探しで人との繋がりを充実させたいと思う人もおられます。

ただ、僕らは発達障害のある人とのやりとりが多いため、どうしても人間関係やコミュニケーションについての話題をご本人とすることは多くなります。障害特性が影響して、人との関係性を築いていく中でうまくいかないこともあるように思い、そこは定着支援や定期面談のなかで一緒に考えることも必要な支援であると思います。

就労移行支援→就労定着支援と、一連の流れの中でご本人と支援者の関係性はそれなりに築くことができ、ご本人も僕らを頼ってくださいます。

でも、それだけでは不十分なようにも思い、僕らで支援できないこともあるとすれば、頼れる人、頼れる場所、頼れるコミュニティがあることは、長く続く社会人生活では必要不可欠なことではないでしょうか。

何かに頼ることは何かに依存することでもあり、東京大学先端研の熊谷先生が仰っている「依存先を増やすこと」は、社会人生活の将来を担う重要なキーワードでもあると思います。

地域に生きる

個人的には、うちの法人の理念である「地域に生きる」がこれからの障害福祉を考える上でピッタリな言葉なように感じてます。

生まれ育った地域、もしくは今の慣れ親しんだ地域において、障害のある人が少しでも依存できる人や場所があったとしたら、社会人生活は今より少しでも充実する気がします。地域に障害への理解が少しずつでもポジティブに広がり、そんな地域で生きていくことがQOLの向上にも繋がるなら、結果的に生きづらさも解消されていくでしょうか。

一人ひとりの将来を考える際に、「地域」は引き続き大事な言葉にしていきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?