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発達障害のある大学生の就職活動と不安感〜周囲が気にかけること〜

先日、所属の事業所で発達障害学生の就活支援に関する実践報告会を開催しました。

当日は、100名以上の方にご参加いただき、宇野先生の基調講演をはじめ、主催者側ではありますが僕ら3つの実践報告も含めてとても充実した時間になりました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

前半の宇野先生による基調講演では、学生支援における大事なポイントを改めて教えていただき、40分の基調講演はあっという間でした。
せっかくなんで、学んだことを改めてまとめておきます。

背景にあるASDの特性

基調講演では、ASD(自閉スペクトラム症)の特性について解説してくださいました。
学校生活や就職活動を進める上では、学生さんの背景にあるASDの特性を理解することが大切で、先生からは特に、「社会的イマジネーション」の話がありました。
特に、イマジネーションの特性に含まれる「見通し」「臨機応変」「同時並行」などがポイントとのことで、困難さの背景にある特性を理解する大切さを教えていただきました。

カモフラージュの話

カモフラージュとは、周囲の風景に溶け込むことにより、敵の視を欺き、対象を発見されないようにする方法のこととあります(Wikipediaより)。

講演では、海外の研究データをご紹介いただき、うつや不安症、社交不安などのある人は、カモフラージュのスコアも高くなるとのことでした。
一見、特性が気づかれにくい学生さんの場合、学校生活や就職活動を頑張りすぎてしまっていることもあり、それが周りに気づかれにくいために必要なサポートを得にくい状況もあるように思います。
うつや不安のある人は他の人以上にカモフラージュしている場合があるってことを知れたのが、個人的には何より印象的なお話でした。

仮に、学生さんがカモフラージュしていることもありそうなら、目標が高くなりすぎていないか?、臨機応変や同時並行を求められていないか?、プランニングへのサポートは必要ないか?など、周囲の人が気にかける必要があるように思います。

表出性コミュニケーションの困難さ

最近は、色んな場面で「表出」の言葉を目にします。
表出性コミュニケーションとは、「自らの発信」でコミュニケーションをとることを意味し、権利擁護や意思決定への支援にも繋がる大事な視点でもあります。

宇野先生のお話でも、「表出」のお話はたくさん出てきていて、

・そもそも、表出への困難さが見落とされやすいこと
・本当の困り感がわかりにくいこと
・困ったら相談…が難しいこと

など、様々な視点についてASDの特性も踏まえながら解説くださいました。

僕ら就労支援者としては、学生さんが相談相手(大学の関係者や就労支援者、家族、ドクターなど)に自分の想いや悩みをうまく伝えることができているかどうかについて、背景にあるASDの特性を意識しながら「表出性コミュニケーション」を気にかけていく必要がありそうです。

周囲を頼るために必要なこと

宇野先生のお話では、相談しようと思うマインドがあり、それを表現する手段や技能があるなかで相談が成り立っていくとのお話がありました。
また、それには前提としての「自己肯定感」が大切とのお話もあり、背景にあるASD特性を考えると、周囲を頼るためには少しずつ時間をかけていくことが大事であると改めて感じました。

やはりそうなると、「困ったら相談」よりは「定期的な相談」が学生さんにとっては頼りやすく、相談しやすいように思います。宇野先生もそんなふうにおっしゃっていました。
相談の場面では、ASD特性を理解した上での学生支援が益々大事となりそうです。


学生生活は、中学や高校までと違い、自発的に、能動的に、学校生活を送る必要があります。
そこに、ASD特性による困難さが生じることは多くあるように思い、高等教育ならではの環境が特性にも影響を与えているように思います。

それに、就職活動は「頑張らないと!」とどうしても思いがちな場面でもあるため、カモフラージュや表出性コミュニケーションへの視点を忘れない学生サポートが重要であると改めて感じました。

 

宇野先生に教えていただいたことを大切にして、今年度の学生支援も3団体みんなで頑張ろうと思います。
ご興味ある学生さん、ご家族の皆さま、お申込みもお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします!


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