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あと5cmの飴ちゃん

あと5cm・・・・欲しい!

え、何が?

母ととりとめのない
おしゃべりをする午後。

母が昔、
2,3人の縫い子さんと一緒に
洋裁を教えながら、
仕事をしていた頃の話になりました。

あれは雇っていたの?
それとも
お金をもらって教えていたの?
と聞くと

「お給料を払って、教えていたんだよ」

おおお、
経営者だったのね、母は。

と驚き
いろいろ聞きました。

「洋裁を教えながら、
満足してもらいながら、
働いてもらってたんだよ」

ふーん、じゃ
仕事はだれが取ってくるの?
つまり、営業は?

「そんなん、私やん」と
笑って答える母。

そうなんだ
そうだったんだ・・

「大事なのは、
その人達が満足すること」

「例えば、
仕事だけじゃなくて
自分でも、素敵なお洋服を着たいやん?

だから、仕事時間内でも
暇なときは、
自分の服
作ってもいいよ、と
言ってあげてた」

すごい!

母は経営者として
私の先輩だったのです。

なにか私にしてほしいことある?
と聞くと

「あと5cm・・・」
ん?

「あと5cm,飴ちゃんが欲しい」

へ???

飴をcmで数えるんかい??

なんだか、妙におかしくて
笑ってしまいました。

つられて
母も声を立てて笑いました。

穏やかで、静かで
とても幸せな午後でした。

ああ、
洋裁の話をしていたから、
cmが出てきたんだなぁと
帰り道の
車の中で気づいて

母の頭の中で
楽しかった洋裁の仕事と

大好きな黒糖の飴が
結びついたのかな、と想像しました。


いつも
1回は母を笑わせることを
目標にしていたので
その日は二重丸、いや、花マル💮でした(*^^*)


昨年の4月、
最後の日まで
1日1日をあれほど大切にした日々はありません。

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