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サポートされた記憶

もう20年くらい前にサプリの仕事をしていたとき、全国をエリアに分けて、その地域の代理店と本社をつなぐインストラクターという役割の人がいました。

私たちは独立事業主、インストラクターは本社の社員でした。

数年に一度、転勤などで代わりましたが、ある年に1年だけ香川に来られた方が、まさにサポーターでした。

前にも書きましたが、会えば質問している人でした。

ニコニコ飄々として、
「福谷さんにとっての幸せってなに?」
「どうすればこのちっちゃい香川が日本一になるかなぁ?」

「仲間がやる気を出すため僕らにできることって何だろう」
「どんな企画を出せばみんな前向きになるかなぁ・・」

そんな質問ばかり、私に投げかけ続けた人でした。
とっさにすぐ答えの出ないような質問。

「うーん・・・」と私が唸ると、
「また、考えといてね(*^^*)」とニコニコ。

実は、その1年ほど、私のパフォーマンスが上がった年はありませんでした。
いろんなことを次々と考えて、
「こんなのどうでしょうか?」と言うと、
決まって必ず彼は、同じことを言いました。

「それ、いいね〜〜〜!!やってみようよ」

そしていろんな企画を立てては、新しい試みを、たくさんたくさん実行しました。

もちろんうまく行かないことはいっぱいありましたが、たまにヒットもありました。


そのヒット企画について、本社まで話が届き、彼は本社会議で、尋ねられたそうです。

香川で今、面白い取り組みをしてるそうだが、その企画、全国的に展開してみてもいいんじゃないか、と。


ところが彼は、きっぱり断ったのです。

「これは福谷さんが試行錯誤して、失敗も重ね、いろいろ考え直した末の企画です。
彼女は独立した事業主です、彼女の企画をそのまま、盗み取りはおかしいです。」


賛否両論あるでしょうけれど、私はその時、とても嬉しかったのを今でも覚えています。

私の考え、企画、トライして、失敗も成功も、自分で責任を取る立場の人間を、最大限尊重してくれた、という感謝の気持ちでいっぱいでした。


彼は会社員だったので、本社からそう言われれば従わざるを得ない立場だったのに、それでもきっぱり断ってくれた。

今、彼はやはり私のサポーターだったと思います。

人をサポートするとは、
その人を大切にすること
その人の味方になること、
その人の権利や立場を、その人以上に尊重すること、

そして、それをどう表現するか、ということ。

そういうことじゃないか、と、今振り返って思います。

彼はその後2,3年で会社をやめました。
組織に向かない人だったのかもしれません。


あとになって、コーチングスキルやアサーションを学び、
ああ、人をサポートするとは、こういうことだったんだ、と、納得しました。
彼は、名サポーターでした。


今、私はそんなふうに周りの人をサポートしているかな、
と、時々、彼の飄々とした笑顔を思い出します。


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