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不適切にも…

リニアモーターカーで話題のS県で、教員の不祥事があったという記事を読みました。
職場の飲み会?で同僚教師にセクハラ行為を働いた教頭と、修学旅行の引率中にビールを飲んだ教員が、それぞれ懲戒処分となった、と、そんな内容でした。ご多分に漏れず、教育委員会か校長か分かりませんが、管理監督をする立場の方の謝罪会見の写真が掲載されていました。

ここで私が気になるのは、世の中で飲み会でセクハラを働く人というのはそれほどまでに少ないのか(わざわざ全国ニュースにしなければならないほど)、ということです。
いや、もちろんセクハラは良くない。ましてや管理職というパワーを利用してのセクハラは言語道断です。
それを大前提にするにしても、例えば一般企業の飲み会でセクハラがあったとか、新聞記者が外回りの最中に飲酒をしていた(飲酒運転は論外としても)、という全国ニュースはとんと聞いたことがない、ましてや企業の社長や新聞社の役員が社員のセクハラや飲酒にまつわる案件で謝罪会見を開いたなどと報道されたのは全く記憶にございません。これはなぜなのでしょう。
公務員(正確には準公務員)だから?いえいえ、私立学校の教員が同じことをしていても謝罪会見はしなければならないでょう。

はっきり言ってしまえば、世の中的に「不祥事を起こした教員(公務員含む)は全国規模で叩いて良い」という合意形成がなされているからに他なりません。

冒頭に挙げた記事のうち、前者の内容など、管理職からすれば「日ごろの管理監督がなっておらず申し訳なかった。再発防止に努める」と、被害者の女性と家族に謝罪をすること、被害にあったとされる教員が希望しておるならばともかく、普通に考えれば保護者にさえ説明する必要のない内容ではないか(一般企業で言えば顧客に、新聞社で言えば購読者に説明するかどうかというのと同等の話だと思います)、と感じてしまうのですが、いかがなものでしょう。これを報道機関にわざわざ伝えて謝罪会見を開く意味が私には理解できません(開かなければ「隠蔽」と叩かれるのですからたまったものではありません)。
そもそもこの謝罪会見って、誰に何を謝っているのでしょうね。本当にいつも不思議に思っています。
後者についてもせいぜい生徒と保護者にお詫びする程度の話で、わざわざ報道陣を呼ぶ意味が、更にはわざわざ記事にする意味がまったく分かりません (余計なお世話ですが、知事選を控えているのだからそれにまつわる記事を書いたほうがよっぽど建設的だと思います)。
もちろんセクハラの対象が生徒であったりとか、具体的に飲酒にまつわるトラブルを起こして警察のご厄介になったとか、そういうレベルの話ならば話は別です。これは企業で言うところのリコールとか産地偽装、マスコミで言うところの誤報に当たりますから、それは本務を取り扱うものとして広く社会に謝罪をする必要がでてくる、とは思います。しかし今回の件はいずれにも該当しない、と考えます。教員(公務員)は公僕であり聖人君子であるから、仁義にもとる行為はすべて社会に報告しなければならない、とでも言うのでしょうか。

しかもこの手の不祥事ネタは、「概ねこの方向で書いておけば購読者が加害者を叩くだろう」という裏の意図が丸見えで、例えば再発防止策を提言するとか、軽い意図で行われたセクハラが重大な事案をもたらした類似事例を紹介して同じようなことが起こらないように抑止をするとか、そういうメディアが本来果たさねばならない役割を放棄しているとすら思ってしまいます。
事実を書くだけってたしかに楽ですからわからなくもないですが、それだけならおそらくその記者さんの仕事は数年以内にAIに奪われるでしょう。

昭和時代程度のコンプラしかない私ですが、猫も杓子もコンプラコンプラ、ヤバそうなやつは封印、臭いものには蓋、という今の世の中の姿勢が、子々孫々に良い影響を与えるとはとても思えません。

今の世の中の姿勢こそ、「不適切にもほどがある」と感じてしまうのは、私だけなのでしょうか。

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