「長谷川恒希のひとり芝居」が素晴らしいという話。
こんにちは。あけまつです。
釧路移住と「くしログ」
前にこの記事なんかでも書きましたが、僕は2022年に釧路にUターン移住しました。その大きなキッカケになったのが「くしログ」というYoutube番組。当時どこに移住をするか迷っていた自分が「あぁ、釧路もいいかもなぁ」と思うまさに引き金になったのが「くしログ」だったのです。
このくしログの中心人物の2人になっていたのが、大野さんという釧路で飲食店をゴリゴリ経営したり、釧路ご当地ドリンク「夕日ハイボール」を発案したりなどしている方、そしてもうひとりの長谷川恒希さんという、釧路在住でひとり芝居役者、ものまね芸人、ラジオパーソナリティ、飲み屋さんの店長などやられている、なんとも面白い方で。
「長谷川さんのひとり芝居」がとても良い。
へぇ〜釧路にこんなにおもしろい人がいるんだなぁ、なんて思っていたところ、ちょうどいいタイミングで釧路で「長谷川恒希のひとり芝居」の公演があることを知り、せっかくだから行ってみるかぁとお邪魔してみることにした。
僕は普段から演劇というものを見る習慣があまりないのですが、このひとり芝居を初めて見たときに、なんだか言いようもなく感動した記憶がある。単純にキャラクター、ストーリーの完成度といい、いままで見慣れていなかった演劇というものの面白さといい、ちょっと度肝を抜かれてしまったのです。
そして2022年に釧路に移住、そうすると「新作ツアー2022」というのがまた開催されるみたいだということを知った。
このときのことはかなり鮮明に覚えてます。最初にみた公演から遥かに洗練された完成度と迫力、そしてちゃんとファンみたいなお客さんが釧路芸術館という会場を埋め尽くしていて率直にすげーなと膝を打ちました。
僕はどうしても昔エンタメを仕事にしようと奮闘していたときがあったのでこういうコンテンツを分析的に見てしまうのだけど、途中からおもわず各々のキャラクターが背負う世界に引きずり込まれ、のめり込んだ記憶。
そして「人間生活図鑑 新作ツアー2023」
光栄なことに長谷川さんとは釧路で何回かお酒をご一緒させていただいて、僕もなんだか嬉しくなってしまって酒がどうにも毎度進んでしまうのです。それで、もちろん本心がポロッと出たということではあるのですが、あるとき酔っ払った勢いで僕はこう長谷川さんに言ってしまったのです。
「長谷川さん、仙台の人たちに長谷川さんのお芝居見せたいんですよ。ツアーで仙台にも来てくださいよ。僕集客とか頑張りますから。」
「言ってしまった」ってのがどういう意味かといいますと。
僕ちょっと昔に、バンドで飯が食えないかともがいていた時期があったんです。だから、「イベントの集客等々含めたサポート」がどのくらい大変なのかというのは身にしみてよく分かっている自負があるんです。ましてや、僕のような小物ならばいざしらず、長谷川さんは知名度も高いし、イベントに関わっている人の数も、長谷川さんが発信する情報を見ている人の数もとても多い。いわば「イベントをうまく行かせる」ことに対する一定の責任を負うみたいな話なんです。正直、そのあと全く後悔しなかったかといえばそれは嘘になります。笑
が、もう言ってしまったわけですし、加えて、仙台の人たちにこのひとり芝居を観てもらうのは本当に達成したかった目標というか小さな夢だったので、まぁ頑張ってみるかと腹をくくりました。こうして決まったのが、「長谷川恒希 ひとり芝居 人間生活図鑑 新作ツアー2023」。
仙台は完全に「長谷川恒希のひとり芝居」初上陸の街ということで、まずは小さな劇場からスタート。選ばれたのが「クオータースタジオ」さんでした。コンパクトで演者との距離が近い、とてもあったかい劇場。
今回のツアーの演目
今回のツアーの演目は以下の3つ。
移住者
医療機器営業
演歌歌手歌謡ショー
移住者
「田舎に移住してきたおばさん」が、同じく移住者が経営する足つぼマッサージ店で施術を受けながら見せる動物的な立ち振る舞いをコミカルに描いた演目。
長谷川さんも言っていましたが、「過去でもなく未来でもなく、ただただ今現在しか見ていない」オバサンの可愛さみたいなものを一歩引いて観察しているような感覚になり、全編通して微笑ましさにあふれる演目です。
医療機器営業
バーで医療機器を医師に営業する、おべっか使いの調子のいい営業マンの一夜を描いた演目です。
「この演目にすごく人気がある」と長谷川さんは言っていましたが、それはとても理解できます。営業マンのコミカルな動きの裏からじわっとにじみ出てくる哀愁、そして一瞬だけ顔を見せる人間としての熱いマインド、それが人から人に確かに伝播したその瞬間。これを圧倒的な熱量をもってたった一人で演じきる。この凄みは、この演目で最も際立っていたと思います。
演歌歌手歌謡ショー
演歌歌手の歌謡ショーの様子を3曲の歌唱とともにこれまたコミカルに描いた演目。新曲「すれちがひ」はTMネットワークの木根さんの作曲とのことで、なんともビックリです。
まぁしかし僕はこの卓越した歌詞センスにやられちゃいましたがね。僕は書けないです。こういう歌詞。
最後はうちわを観客に持たせたり、ポストカード配布大会をやったりというもはや反則技のような飛び道具で、このライブは大団円的な終わりを迎えます。
どのキャラクターにもそれぞれの背景、それぞれの悩み、それぞれの悲哀のようなものがあり、コミカルの裏に必ずそれを忍び込ませているのが、この長谷川恒希のひとり芝居の唯一無二の面白さだと僕は思っています。その結果生まれ、舞台上で動き回るキャラクターたちは、とにかく絶妙に愛おしいわけです。
仙台公演、無事に大成功でした。
僕は釧路公演の初日から見させていただいたんですが、今回のツアーの仕上がり方はいつにも増していたと思います。しかも圧倒的に。結果として釧路、札幌公演は大成功。
僕もこの素晴らしい舞台を確かに仙台の人たちにも届けなきゃという思いで、めちゃくちゃいろんな人に声をかけたりなど、微力ながら走り回らせていただきました。もっと色んな人にいろんな方法で周知をできたな、、、という反省等はありますが、仙台公演、とってもハッピーな空気感の中無事終演。大成功と言ってもよかったんじゃないでしょうか!
僭越ながら打ち上げを提案させていただき、すべてが終わったあとははいつもの「呑み処 盛ふく」で特別仙台名物コースをセッティングしてもらいました。
全てを終えて、やりきった感と安堵感に包まれた打ち上げで、このツアーは幕を閉じました。
もっともっと。見てほしいと思えるエンターテインメント。
どうなることかと思ったこともありましたしメンタルブレイクしそうになる瞬間もありましたが、結果として長谷川さんの舞台を仙台の人たちにうまく届けることができたのではないかと思っています。
仙台の人たちって結構仮面をかぶるんですよ。初めて会う人や初めて行くところでは結構武装しがちというか。もちろんみんながみんなじゃないけど、そういう人が多いイメージがある。
しかし、公演が終わったあとのお客さんの顔を見ると、びっくりするくらい幸せな笑顔に変わってるんだよね。僕はそれを見て何度も涙が出そうになってさ。僕が芝居やってるわけじゃないのにね。なんか自分ごとのように嬉しかったのよ。すごいな、エンターテインメントって本当にすごいんだな、と万感の思いでした。
だから、いまになってすごく思っているのは、「もっともっと届いてほしいな」ということです。仙台もそうだし、もっといろんなところに。もっといろんな層に、この人のエンターテインメントが届いていってほしい。そう思ってます。
僕持論があって、世の中には2種類の仕事があるんですよ。
ひとつは「ないと困るものを売る」お仕事。例えば食料品店とか服屋さんとかコンビニとかね。こういうビジネスは、比較的人に伝わって行きやすいんですよ。だから世の中の仕事ってこっちのほうが多いよね。
んで、もうひとつが「なくても困らないものを売る」お仕事。これがまさに、エンタメを仕事にするっていう選択肢なんですよね。例えば音楽、お祭り、そしてお芝居。これらは「人の心を豊かに」するものなんだけれど、「なきゃ死んじゃう」かというとそうではないんだよね。こういうものをちゃんと人々に伝播させて、仕事にし続けるには、ほんとうの意味で人を感動させ、また来たい、また見たいと思わせなきゃいけないんですよね。別になかったらなかったで死ぬわけでもないのによ。それでも「また行きたいんだ!」って思わせるの。
僕はインディーズミュージシャンの端くれなので、その難しさ、大変さ、苦悩、プロとして背負う責任の大きさといったらもう、半端なものではないことは理解しているつもりです。長谷川さんだって、それは同じなはずなのさ。
しかもエンターテイナーってのは、それを表に出しちゃならないんだよね。僕はだから、エンターテイナーってのはすんごいなって心の底から思っているのです。僕にはできなかった。だからなんというか、たぶん自分はおこがましいことに自分がなれなかった夢のエンターテイナー像を、長谷川さんに無意識に重ねてんのかもしれないなぁ、とか思ったりします。
かっこよかったよ。マジで。ほんとうに。
こういうこと書くとあれかもしんないですが、僕はツアーの最後の公演を見てて、長谷川さんが最後の力を振り絞って演じているのがなんとなくわかったのね。でもね、お客さんはいつものように笑って、拍手して、ちゃんと楽しんでるの。ほんと、エンターテインメントってこういうことなんだよなって、それを見ながらしみじみ思ってしまいました。
来年も仙台公演、あったら嬉しいな。
僕の勝手な希望かもしれないんだけど、来年もあったらいいなぁ、仙台公演、って思います。
というかね、仙台のお客さんの顔見てたら、長谷川さんに、そして長谷川さんが作り上げるキャラクターにまた会いたいって人は結構いるだろうなって気持ちになりましたよ。だから仙台のみんなでまた力を合わせて、来年も出迎えることができればいいなってすごく思う。マジで。
長谷川さん、舞台監督の多田さん、仙台に来てくれて、仙台のみんなを笑わせてくれて本当にありがとうございました。あと、長谷川恒希のひとり芝居に関わられている皆さん、ありがとうございます。僕も1枚噛めてとっても光栄です。嬉しいです。
クオータースタジオの吉田さんも、ありがとうございました!
みなさん、てなわけで、チェックしてみてよ!
11/25(土)には東京で無料公演があるみたいだからね!
ちなみに
前に、「くしログ」の大野さんが発案者の「夕日ハイボール」の曲を作ったことがあるんですよ。ちょっとでも盛り上がったらいいなぁと思って。
んで今回は長谷川さんのツアー。
ちょっとくらいは、2人に恩返しができたかなぁとか思ったり。
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