#54 人間の脅威と孤独な道 / Away From The Immediate Tavern
ひとり、ふらりと立ち寄った食堂は賑わっていた。賑やかなテーブルからは、どこか「寅さん」の世界観を彷彿とさせるようなノスタルジーが漂う空間だった。
そんな雰囲気の中で、「人間」や「北極星」について考えようとすると、なんだか可笑しな自分に気付いて笑えてくる。
それでも思考は、街を離れて遠い場所へと旅立つ。人気や灯りのない荒野のほうが、星が良く見えるから……。
…
そんな陰鬱な世界で、ふと思った。
地球規模で見て、社会が豊かになるほど、「ひとり」を選ぶ人が増える傾向があるのは、何故だろうかと。
それはつまり、生き残るために、集団であるべきだった長い歴史のピークを経て、脅威が和らいでいるからかもしれない。
脅威がひとつずつ消えていった時に、人間にとっての最たる脅威は、人間自身になったのかもしれない。
…
明るい都市からは、星は見えない。
集団という脅威から背を向けて、ひとり歩き出す旅人の道しるべとなるのが、北極星なのかもしれない。
Away From The immediate tavern
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