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#2 恋人の定義

恋人というものは、師弟であり、親子であり、友人であるべきだと思う。今回は旦那とのことについて書こう。

畜産学科で同期だった彼は、私が今まで出会った同い年の男性の中でダントツ心が大人びていた。考え方が目先のことばかりでなく、遠い未来、それも明るい未来を想像して話す人で、自分の考えの甘さを痛感することが多々あった。

農家の次男坊と生まれも育ちも東京だった一人娘の私では、全く違う生活環境で育ち、全く違う価値観を持っているのだが、それゆえに「この人面白い。」と思っていた。

テスト前には彼を含む仲の良いグループで勉強会を開く。ノートを必死に写したり、過去問を暗記したり。でも結局最後はみんなで駄弁っている。夏の夜はみんなでツーリングに行き、呑んだ後はカラオケ。明け方はラーメンを食べに行く。

大学生らしい大学生活を一緒に満喫した。

様々あって、付き合うことになったけれど、その時のことは今でも忘れない。

付き合うってことは農家の嫁になるかもしれないってことだけど、大丈夫?

そう聞かれたんだった。
(…結婚を前提にお付き合いするってこと!?テレビとかでよく見るやつだわ!)

今思えば、そんな先のことは考えてもなかったし、農大に入った時点で農業に携わる仕事に就くことは決めていたし、別にいいかぐらいの気持ちで、大丈夫だよ〜と安直に答えていた。

誠実、謙虚、ひたむき、そして愛。
この4つを大切にしたい。

彼が学生時代によく言っていた言葉である。

私の今までというものの、その4つこそなくて、なるようになる精神で毎日を雑に暮らしていた。だからこそ、ぶつかることもたくさんあった。

付き合ってすぐに同棲(というか実家から大学も遠くて面倒だったので、彼のアパートに転がり込んだ)したので、洗濯の干し方から食事の内容、お金の使い方まで全く違う。

先に書いたように、全く違う生活環境で育ち、全く違う価値観を持っているのだから当たり前だ。嫉妬や束縛のような喧嘩こそしないが、考え方や物の見方で言い合いになる。

何度もぶつかってきたが、別れなかったのは多分彼の言うことが正論だったから。

その時には沸々と怒りが込み上げているから考えられないのだけど、次の日落ち着いて考えると、確かにそうだなあと思うのである。もちろん私が本当に正しいこともあったのだけど、その時はきちんと謝ってくれた。

だからその度にお互いの凸凹を埋め合うように、削り合いながら、許し合いながら、一緒に暮らした。

やがて卒論も大詰め。就活シーズンが始まり、先のことを考えなくてはいけなくなってきた。彼は卒業後、愛知県の養豚場での研修が決まっていた。その頃にはお互い将来結婚したいと思えていたし、母からは結婚するつもりなら、就活はしないで研修先についていってもいいと承諾してもらっていたので、私は卒論に専念した。

卒業後、愛知県の小さな町でまた2人暮らしが始まる。私はフリーター。彼は給料なしで研修生。その時のことはまた別に書こうと思う。

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