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「ゲーム行動症」も「ギャンブル症」も「こすっからしい」用語だと思っています。

わたしは「ゲーム行動症」も「ギャンブル症」も「こすっからしい」用語だと思っています。
アメリカ精神医学会のDSM-5TRやWHOのICD-11での表現通り「ギャンブリング障害(gambling disorder)」「ゲーミング障害(gaming disorder)」が正しい。
「障害」は響きが強いから「症」で、という議論があるそうですが、少なくともICD-11での定義ではそのくらい強い用語です。

たとえばゲーム障害(gaming disorder)のICD-11での診断要件をみると、

DeepL様ママでは、
◍ゲーム行動(「デジタルゲーム」または「ビデオゲーム」)の持続的なパターンで、主にオンライン(すなわち、インターネットまたは類似の電子ネットワーク経由)またはオフラインである可能性があり、以下のすべてによって明らかになる:
 〇ゲーム行動(例えば、開始、頻度、強度、継続時間、終了、文脈)の制御障害;
 〇ゲームが他の生活上の関心や日常活動よりも優先される程度までゲーム行動に与えられる優先度の増加;
 〇否定的な結果(例えば、ゲーム行動による家族の対立、学業成績の低下、健康への悪影響)が生じているにもかかわらず、ゲーム行動が継続またはエスカレートしている。
◍ゲーム行動のパターンは、継続的である場合もあれば、エピソード的に反復する場合もあるが、長期間(例えば12ヵ月)にわたって現れている。
◍ゲーム行動は、他の精神障害(例えば、躁病エピソード)では説明できず、物質や薬の影響によるものでもない。
◍ゲーム行動のパターンが、個人的、家族的、社会的、教育的、職業的、またはその他の重要な機能領域において、重大な苦痛または障害をもたらしている。

このすべてを満たさなければならない状態の、どこが「障害」では重すぎる、というのだろうか

DSM-5TRだって、「重大な障害や苦痛に至る」を無視して症候チェック(嗜癖過程チェック)だけで有障害扱いしがちだが、この前文を無視してはいけない。
「ギャンブル症」「ゲーム行動症」などと、「ゆるい」表現にすることは、WHOが障害や疾病ではない健康問題カテゴリーに「危険な遊び方」をいれ、ギャンブリング障害、ゲーミング障害との区別を求めた意味を無にしてしまう。あるいはDSM系の調査では問題ギャンブリングという言葉を使ってきた歴史を無にする。
ギャンブル依存症、ゲーム依存症というわが国独特の用語でその範疇をやたらに拡張しようとした愚の追認だ。

「ギャンブリング障害」も「ゲーミング障害」も重大な障害や苦痛をともなってはじめて診断されるべきものだから、ゲーム行動症、ギャンブル症という用語はこすっからしいとおもうわけです。

といいつつ、ギャンブル依存症、ゲーム依存症などよりましだとは思うので、使います。薬物では比較的明らかだった「耐性」「離脱」といった嗜癖プロセス、「やめるのに失敗した経験」は将来のゲーミング障害、ギャンブリング障害をどうやら予測しないようなので、「依存症」がやたらに誤解を生む言葉なので。「だめ、ぜったい」とか。薬物でも古いんだけど。
というわけで、「依存症」よりはましなので「ゲーム行動症」「ギャンブル症」使います。


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