見出し画像

コロナの損失を融資でしのぐのは厳しい

まだまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス。

ワクチンが承認されたとはいえ、日本全国に行き渡るのには時間がかかるだろうし、生活が元通りになるのはかなり先になるという見通しを立てざるを得ません。そもそも完全に元通りになることは無いのかもしれません。

飲食店、観光業、イベント関連の事業を営んでいる人の心労は計り知れないものがあります。たまたま弊社は直接的にはそういった事業を営んでいなかったけれど、お客様にはモロに影響を受けた企業があり、ジワリと減収減益傾向になってきているのは事実です。

ただ、それでもまだまだマシなこともまた事実。先述したような直接影響のある業種の事業者さんは、現在手持ちの現金がどんどん流れ出ていっている状況でしょう。

個人や家庭の会計と同じで、収入が著しく減少して毎月必要な最低限の金額の入金がなければ、あとは貯金を切り崩して生活するしかありません。企業も雇用している従業員の給与、自分の役員報酬、お店であれば賃料、営業を止めていなければ仕入れなどの経費が、人が生きていくのに必要な生活費と同じようにかかります。

もちろん雇用調整助成金などの助け舟はあるものの、当然ですが、店舗等を営業継続していれば働いてもらうことになりますので、支給されないのです。売上があろうとなかろうと、そこは関係ありません。

これまでのところ、営業の有無に関わらず支給される給付金は

- 持続化給付金(最大で200万円)
- 家賃支援給付金(概ね賃料の2/3 × 半年分)

だけでしょう。これだけでは、もう1年近くになるこの状況を乗り切れるはずが有りません。

そこでもう一つ考えられるのは、コロナ対応型の融資となります。弊社はこの制度を利用して融資を受けました。

ただし融資はあくまで融資であり、給付金ではありません。要するに借金ですから、手を出せずにいる事業者さんもたくさんいると思います。

融資は当然返済が必要になる

先程も書きましたが、コロナの影響で3月以降の売上が著しく落ちた場合、キャッシュがどんどん流出している状況だと思われます。

内部留保が豊富にある企業であれば「とりあえず終息まで切り詰めるところを切り詰めて乗り切る」という方法もあるでしょう。

しかしそのような企業はそれほど多くないはず。特に小さな事業者は、何らかの金策をしないと生き残ることができない状況です。

飲食店などの小規模事業者であれば、おそらくその金策の多くは(給付金を除けば)事業主個人のお金となるはずです。いわゆる「事業主借」というものです。法人であれば「役員借入金」となります。

これらは会計上は借金ですが、正直なところ、小規模な事業主目線では貸し付けているとかそんなことも考えず、まずはなんとかしないといけない場合に最も最初に思い至るものでしょう。当然といえば当然ですが、それほど事業主個人と事業のお金は結びついています。(もちろん会計上はきっちり分けることが求められます。)

上場企業であれば公募増資などで出資を募るので、また別のお話に

ただ、この事業主借や役員借入金で賄うのも限界があるでしょう。数ヶ月のことであればなんとかなる。でもこれがもう1年になろうとしているわけで、毎月30万、50万と個人のお金が会社に吸い取られていく状況は非常に苦しいと言わざるを得ません。実質返さなくていいお金とはいえ、家族がいれば不安にさせてしまうし、当然自分だって不安になる。

「でも、普段儲かってるからいいでしょ?」という見方もあるかもしれませんが、まあおそらく大半の事業主はそれほど儲かってないでしょう。もちろん会社員の方よりその時々の収入は多いかもしれませんが、仮に1000万程度の年収があっても家族がいればどんどん消えていきます。税金も大きくなります。

そして、コロナのような事態になると、さらにすごい勢いでお金が消えていく。

こういった状況で事業を存続するために浮上するのが、事業主以外の外部からの「融資」です。

融資は外部への借金ですから、返済する必要があります。しかも利息を取られます。

事業主借もおそらく利息は必要なはずですがここでは割愛します

コロナ融資は「3年間実質利息なし」「据置期間5年以内」。かなり条件は良いといえます。とはいえ、考えなしに安易に融資を受けると、さらに状況が悪化する可能性が否定できません。

発生した損失を利益で埋めてからが、ようやくスタートライン

融資を受ける場合、当然返済が必要です。コロナ融資の場合は最長の据置期間である5年後には本格的な返済が開始されるので、それまでにコロナで発生した損失を埋めなければいけません。

この「損失を埋める」ことについて、融資されたお金を充当していてはマイナスをマイナスで埋めただけで何の解決にもなりません。

まずは融資されたお金で利益を発生させ、その新たに生まれた利益で損失を埋めることが必要なのです。要するに、運営費として補填するだけでは、借金が増えただけになってしまう。

そしてビジネスモデルが従前のままの場合、コロナ禍において損失が発生し続ける状況がいつまで続くかわからない以上、融資を受けるのはギャンブルになってしまう。さらに言えば、コロナが収まりとりあえず収益がトントンもしくは少しプラスになっただけでは、生まれた損失を埋めることができず、結局の所融資の返済が重くのしかかってくることになります。

融資を受けるのであれば、何らかのビジネスモデルの変化によって以前より大きな利益を生み出す必要があります。そこからようやくスタートラインに立てる。

しかしそれは容易なことではありません。以前から温めていたビジネスモデルがある場合には、よいきっかけになるかもしれません。しかしそうでない場合、付け焼刃的に何か新事業を始めても成功の確立は低いでしょう。

となると結局の所、融資に頼るというのは割とギャンブル要素が大きくなってきます。

それではどうすればよいのか。

愛され必要とされているかが問われる

もし苦境に立たされているお店や会社、個人の力が、社会や関わる人々から愛され必要とされていれば、おそらく何らかのお声がかかるのではないでしょうか。

もちろん仕事を依頼する、お店に行く、商品を買うといったことが第一でしょう。しかしこのコロナ禍において、特にお店や興行といった事業は、業績への貢献が難しい。となると、そのかたちは出資や、クラウドファンディングなどのかたちで表現されるように思います。

事業主借や役員借入、そして外部からの融資以外の金策には、やはり出資が最もよい手段でしょう。返済の必要が無い代わりに所有権の一部を譲渡します。これでまずは当面の資金繰りに一息つける状況がつくれます。

次にクラウドファンディングで広く協賛を募ります。これにより支援した人々は援助の気持ちとお金の引き換えに、連帯感とリターンを受け取ることができます。

しかしこれらの出資やクラウドファンディングに必要なのは、共感です。「あの会社やお店をなくしたくない」と思ってもらえること。

この「存在への共感」を得られる事業をつくってきた事業主だけが、これらの手段によって延命しつつ将来への投資が可能となるのです。言い換えれば今の時代、こういった共感を得られるお店や会社、個人になることが大きなリスクヘッジにもつながると言えるかもしれません。

経営やお仕事について発信してるTwitterやってます。よかったらフォローお願いいたします。https://twitter.com/sato_rollin サポートよりフォローのほうが喜びます!