【創作詩】厚化粧‑私の物と思うこと
指先に触れた春
眦で光る夏
歪み、綻びが見えぬよう
嘘と紅を塗り重ね
悩み、喜びが漏れぬよう
染まる頬を塗り潰し
誰が為に咲く花を
私の為と思うこと
皆の物で在る月を
私の物と思うこと
口先で実る秋
面影もなく溶けた冬
私の為にした善を
君の為と思うこと
私の物である罪を
彼女の物と思うこと
この窓際に散る花を
私の命と思うこと
夜が明けたら刺す熱を
私の明日と思うこと
瞬きする間に実る果を
私の恋と思うこと
いつかは溶けるあの雪を
君の心と思うこと
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