ブラインドサッカーは知っている。なのに、ロービジョンフットサルは知らない。
ロービジョンフットサルを貴方は知っていますか?
と言う私も、知ったのは約3年前。
多くを知っている立場ではありませんが、2020年を迎えた今だからこそ、1人でも多くの方に知っていただきたいと思い書かせていただきます。
これをご覧いただいている方の中にも、タイトル通り、ブラインドサッカーはテレビなどで見たことがあり、知っている!という方も多いかと思います。
かくいう私も、ブラインドサッカーの大会へ行った時に、同じ会場で行われていたロービジョンフットサルを観たのがこの競技を知ったキッカケです。
2004年のアテネパラリンピックから正式種目となっているブラインドサッカー。
日本代表はこれまでパラリンピックへの出場はないものの、東京2020パラリンピックでは開催国として初出場が決まっておりこれから一層の注目が集まることかと思います。
そんな今だからこそ、もう1つのブラインドサッカーも知ってもらいたい。
そんな思いで、書いていきたいと思います。
というように、実はこのロービジョンフットサルもブラインドサッカーの一種なのです。
どういうことか?というのはこの続きをお読みいただければと思います。
一般的なブラインドサッカーがアイマスクを付け完全に視覚を閉じた状態で音の鳴るボールを使用して、工夫されたルールのもとプレーをするのに対し、
ロービジョンフットサルは"ロービジョン"つまり弱視状態でプレーをします。
ボールやルールも通常のフットサルとほぼ変わりません。
そしてそのロービジョンフットサルも、先述した通りブラインドサッカーの一種です。
障がい者スポーツにおいて、ロービジョンは以下の3つに分類されます。
B1:全盲から光を感じられるまで
B2:矯正視力0.03までまたは視野5度まで
B3:矯正視力0.1までまたは視野20度まで
これらは、IPC(国際パラリンピック委員会)やIBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)が定めた基準です。
このうち、B1にあたる全盲、光覚の選手がプレーをするのを、通称ブラインドサッカー。正式名称をブラインドサッカーB1。
パラリンピックの正式競技でもあります。
B2、B3にあたる弱視の選手がプレーをするのを、通称ロービジョンフットサル、正式名称ブラインドサッカーB2/B3と呼んでいます。
こちらは、パラリンピック正式種目ではありません。
この2つのブラインドサッカー。
いずれも、JBFA(日本ブラインドサッカー協会)所属の視覚障害者スポーツなのです。
ロービジョンといっても、その"見えにくさ"は選手によって様々。
曇りガラスを覗くように、ぼやけた見えかた。
見える範囲が狭く、真ん中だけが見える。
正しい色で見えずに、濁って見える。
など、十人十色。
そうした"見え方の異なった"選手同士が共にプレーをします。
ここまで聞いただけでも、難しそうですよね。
わたしもそう思いました。
そして実際に体験をした時には、本当に難しいと感じました。
実際の体験では(様々あるかと思いますが私が体験した時は)、
はじめに何も付けていない状態、つまり晴眼の状態でパスやドリブルを行います。
その後、体験用のゴーグルを着用して同じようにプレーをしようとすると…
私は、視界の“真ん中のみ"が見えるように加工された体験ゴーグルを着用してプレーをしたのですが、
パスをする相手やボールが自分のもとへとやってくるのは"見える"のに、パスを受けて足元にボールが来た瞬間に"見えない"
ボールがない!と焦るも、見えないものは見えない。
私が着用していたゴーグルの状態だと視野狭窄、視界が狭まっているため、真下が見えないのだと教えて頂き一歩下がるとボールが出現。
成る程。見え方によってこうも変わるのか。
一般的に晴眼者は、鼻側に約60度、上側に約60度、下側に約70度、耳側に約90~100度、
眼を動かさずにみえると言われているそう。
この見える範囲を制限された状態となると、これほどまでに見え方が変わり、それによって可能な行動も制限されると知った。
この場合では、自分の真下に位置する足元でボールを目視して蹴ることは叶わず、下側に70度視界が広がってはじめて自分の目で足元のボールを確認して、蹴ることが出来る。
普段生活する中で、自分の視野の広さや狭さをを感じる場面はそうなかったが、この時身をもって体感した。
ロービジョンフットサルの選手は、
それぞれ”見えにくさ”が異なる為に、お互いの”見え方”を理解し合い「この選手はこういう見え方をするからこうしたパスの出し方をする」等と工夫をし、プレーをする必要がある。
またそれは対仲間だけではなく対ライバルに対しても同じで、戦略的に試合を動かしていく必要がある。
身体と共に、非常に頭を使うスポーツであると私は感じました。
また、ロービジョンフットサルの体験時に大変驚いたことがあります。
これもまたロービジョンフットサルの大きな特徴であると思うのですが、
この時の体験では、一人でドリブルをしてシュートをする体験の他に、一緒にプレーをさせていただく体験もさせていただきました。
その体験後、
『実は私も(一緒にプレーをした)彼も弱視者なんです。普通にプレーをしていて気がつかなかったでしょう?』
ええーーーー!?
と、びっくり。全く気が付きませんでした。
というように、見た目は本当に一般的な晴眼者が行うフットサルとなんら変わりはないのです。
すぐ明日にでも観戦して、楽しむことができる。そんな身近なスポーツなのです。
パラスポーツのことは良くわからない。
どう楽しんだら良いのかわからない。
そう感じる方が多いかと思いますが、知ってみると意外と身近。そんな事をお伝えしたかったのです。
東京2020はすぐそこ。
この一年だけでも、例年よりもスポーツに一歩距離を近づけてみませんか?
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