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病院へ行って薬を処方される話

皆さん、精神科や心療内科に行ったことはあるだろうか。

多かれ少なかれ誰しも悩み苦しみを抱えて生きているけれど、
病院へ行くほどのことでもないし…と思っている人が大半なのではないかと思う。
では、どこからが病院へ行くほどのことなのだろうか。

私は医療関係者でもなんでもないので、こうすべきだなどと示せるわけではないけれど、
自分の場合どの段階で病院へ行くことにしたのか、結果はどうであったのか記録しておく。

前記事で、4月ごろから不調をきたしていると述べた。

2~3月ごろから気持ちとしては結構しんどく、これはいつ会社に行けなくなってもおかしくないという感覚があった。
実際に1,2回、腹痛などを理由に突発休をとったりした。本当にお腹が痛かった。
しかしながら、この時点では(相対的には)まだそこそこ元気だったと言っていい。

4月から調子が悪いと表現したのは、明らかに業務に差し支える症状が生じるようになってきたためである。

朝、出勤前に家で座り込んで動けない。
どうにか出社するが、涙が止まらないので車から降りられない。(車通勤)
あらゆる物音がうるさく感じられ、イライラする。
心臓がバクバクと鳴り、指先の血の気が引いてしびれ、震えてくる。
集中できず、考えがまとまらない。

この、考えがまとまらないという奴がかなり厄介だった。

https://www.omci-clinic.com/utsu/symptom/
“うつ病で生じる思考障害のひとつは、思考抑制あるいは思考制止と呼ばれ、「考えが前に進まない」と表現されるように、思考の進み方が鈍くなるものです。”
“うつ病で生じる思考障害のもうひとつは、悲観的思考と呼ばれ、健康なときには考えられないような悲観的な考えに支配されたり、自責的、自罰的に考えてしまうということです。”

自分ではまだうつ病の段階ではないと考えているけれど、このあたりはそっくりそのまま当てはまる症状である。
私の感覚としては、もやというより脳の中に大きなマシュマロみたいなものが詰まってしまっている感じ、
あるいは脳そのものが7割くらいマシュマロに化けてしまったような感じがした。
思考に使用できる領域が非常に狭くなってしまったと感じた。

自殺した人に、死んでしまうくらいならこうすればよかったのに、というコメントが向けられるのを目にすることがあるが、
自殺するほど追い込まれている人はほとんど建設的な選択肢を考える余地がないのではないかと思う。
思考力が低下することで正常な判断力も失われる。

一応頭脳労働者であるから、頭が回らないということは仕事が進まないということである。
仕事が進まないといよいよ気持ちが焦ってくるわけで、これは物凄い悪循環になる。

この悪循環に陥ったことで調子はどんどん悪くなった。
ストレスを感じると片耳が聴こえなくなったり、文字を読んでも読んでも理解できなくなった。
仕事中に自分が何をしているのか分からなくなり、混乱状態が1~2時間続いて何一つ進まない、ということも起きた。

この遅れを取り戻そうと、休日に文献を読んだりして仕事を進めたくなったのだが、結果は前記事に書いた通り。
休日さえうまく休めなくなってしまった。

このように明らかに業務に不都合な症状が出ていたが、休職する事態は避けたかった。
客先への出向という立場でトラブルを起こしたくはなかったからだ。
出向者がメンタル休職になったとき、出向元と受入先はどんなやり取りをするだろうか?
考えただけで具合が悪くなるものである。休職しても気が休まるとは思えなかった。

残り僅かな出向期間をどうにか乗り切るため、
私はメンタルクリニックへ行くことにしたのである。

実は学生の時にも一度、知人の紹介で心療内科に行ったことがあるのだけど、
自分の困っていることが相手に伝わった感じがしなくて1回きりでやめてしまった。

この体験を踏まえて、私は諸症状をメモに書き出して持参した。
このアイデアは良かったと思う。
実際の診察は、私の行ったクリニックでは院長先生がべらべらとおしゃべりをし、
(患者が話しやすい雰囲気づくりなのか、本人の性格なのかは不明)
8割くらい先生が自分の話をして、私は2割くらい何とか自分の症状を述べたという形だ。

身内に長年の心療内科通いがいて、完全に薬漬けになっているのを知っているから、
向精神薬の類には抵抗があることを伝えた。処方されたのは漢方薬だった。
(ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒という。)
薬も飲み方次第だから、うまく頼ればいいんですとのことだった。

特に病名の告知はなかった。
まだ「調子の悪い健康な人」レベルだったからなのか、他の理由からかは分からない。
もし休職したいと先生に言っていたら、何らかの病名はついたのではないかと思うものだ。

ともかく、漢方薬を飲み始めた。

これがすごい効き目だった。
飲み始めてすぐに、全然不安にならず緊張も感じなくなったのである。
聴覚過敏の傾向や、日中の混乱症状もなくなった。
これはいける!と思った。

ただし、指先のしびれ・震え、心臓の動機は治まらなかった。
心は平気なのに身体だけが怯えているようで、まるで風邪をひくなどして高熱を出したときに
解熱剤で無理やり熱を下げているときみたいな違和感があった。

しかし、この薬があったおかげで出向期間を完遂し、無事に自社に生きて帰ってこれたと思う。

もしこれが自分の会社の業務で、終わりがくる見込みもない苦しみだったとしたら、
いつまでも薬で誤魔化しきれたかどうかは正直分からない。
しかし、急場を凌ぐという意味では非常に有効だったと思う。
思考力が低下したり、極端な判断をしそうになっている人は一度受診してみてほしい。

向精神薬の類には副作用の大きなものもあり、また、飲み方を誤れば薬物依存にもつながる。
日本では従来デパスのような薬が安易に処方されてきているので、医師に出されたからと言って
何も知らずに服薬することには個人的に強い抵抗感がある。
(関心のある方はデパス(エチゾラム)について調べてみてください。)

知識のある医師の指導の下で正しく使えば味方となってくれるはずだが、
私としては、こういった薬には注意して、よく理解したうえで服用していただきたいものだ。

https://toyokeizai.net/articles/-/316514?page=4
(↑「麻薬及び向精神薬取締法」により諸薬物の処方が規制され、乱用につながりにくくなったそう。)

また、精神科・心療内科での通常の診察は、病状を医師が把握し、基本的には適切な薬の処方を行うもので、お悩み相談室ではない。
対して、専門家と一緒に自分の心に向き合って整理していくのはカウンセリングである。
薬物療法以外もやっていますよと明言している病院なら希望すればカウンセリングなどの心理療法も受けられるだろう。
(私の行っている病院はどうやら期待できそうにない。)
このあたりは理解して行ったほうが不満が少なくて済むはずだ。

https://snabi.jp/article/82
(↑こちらのページは精神科と心療内科の違い、治療方法等についてもわかりやすく記載されています。)

受診を検討している人の参考になれば幸いである。


最後に。
漢方薬を飲み始めるまで、物音が非常に煩わしく、好きなはずの音楽もろくに聴けない時期があった。
音が大きく感じるというだけでなく、物凄く気になる、イライラする。
出勤中に音楽を流すと、その日中ずっと頭の中でガンガン響きまわってしまうのだ。

そんな中で不思議と聴いていて苦にならず、むしろ平穏な感情で通勤する助けとなってくれた曲を紹介しておく。

Solf / JUXT
https://open.spotify.com/track/5Y73u2wZK3dgTVD90FrdQw?si=obUFiBC8Se6Qxv1DCmAEOw

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