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サラダを食べられるようになって思う事

僕らはみんな大人になれているのだろうか。

教室、窓の外の走る車や歩く背広を見て僕は大人になってみたいと思っていた。
それと同時に、大人になった時の暗闇が怖くて、このままでもいい。そうも思った。

太陽の上り始めから夕方まで同じ場所にいた僕らの12年間が昨日のように感じるのに
あの遊園地のメリーゴーランドのように回り続けどこにいるかも分からなくなっていったこの数年間はいつになっても昨日のことが思い出せない。

一体全体どうしたんだ。
校庭で告白をしたあいつ。
その流れに乗られてつい口に出してしまった好きですという言葉。
いまあの子はどこで何をしているのだろうか。
これは10年も前の話。
なのにあの子の匂いが今でも思い出せる。
まるでさっきまで中睦ましく話していたように。

僕の中で僕が回っていく。
僕に追いつけなくなる僕がいる。
走る走る。
走る走る走る。
いつまで走り続ければいいのだろうか。
何度も見た朝日。
昨日の朝日も明日の朝日もどうせいっしょだ。
電車に揺られて君を思う。
揺られた電車が君を運んでくる。
君は僕を。
僕は君を。
さぁこれからどうしようか。

青い闇が僕に迫る。
守ってくれるのかい君は僕を。

地団駄を踏むあの子供が羨ましい。
今僕が地団駄を踏んだとて、いったい誰が振り向こうか。

悴んだ手を温めるのはだれか。
その手の先に光世界は一体だれのものか。

夢中で夢を見るあいつの横にいる、あの黒い靄はなんだ。
世界を見限り、道端で叫んでいるあいつの瞳に移る七色はなんだ。

広い夜を狭い朝で覆ってほしい。
どうせならばいっそうのこと僕を飲み込んでくれないか。

光が射すその前に僕を連れ去ってくれないか

颯爽と現れた君は一体誰なんだ。
僕の救世主、言った君は誰だ。
知っているぞ、知っているんだその匂い。

その匂いが僕を動揺させる。

リスクを走るあの影は、リスクにはなれず。
ピンチを走る君は、きっと僕にはなれない。

言葉は沢山覚えた、あれからというもの。

だがそれが僕になにをしてくれたというのだろうか。

教室から僕を見る僕は一体なんだ。
信号を待つ君は見ている君は誰だ。

その君は大人になっているのか。
教室から見えている僕は大人になっているのか。

誰も知らない。
誰も知れない。

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