いえないしいらないし
献血後、広間でゆっくりしていたら
ふとある映画の劇中歌を思い出した。
「魔法はいらない 魔法はいらない……」
これは『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』という映画で歌われた歌だ。
志乃ちゃんが歌ったわけではない。志乃ちゃんの唯一の親友…?(本編を観て欲しいので言わない)
が志乃ちゃんへ向けた歌だ。
魔法はいらない。
本編を観た後ならこれが何の魔法かはすぐ分かるが、何故要らないのだろう。
魔法なのに、何でも叶えられる魔法なのに
なぜ要らないのだろう。
ここから内容に触れるのでネタバレになります。
志乃ちゃんは加代ちゃんが居てくれれば良かったんだ。
上手く喋れない自分を変える、キラキラしたあの魔法は要らなかったんだ。
そんな自分を包み込んでくれる友達だけ居ればよかったのだ。
しかし
加代ちゃんは違った。
彼女はバンドが組みたかったのだ。
クラスのはみ出したもので組んだバンドがしたかったのだ(否定しようが彼女の無意識の中でそれがあったと思う)
だって彼女は大のブルーハーツ好き。
これだけで理由になる。
ただの友達で居たかったのに、加代ちゃんの無意識が志乃ちゃんに勘付かれてしまい、
志乃ちゃんはまた閉じこもってしまった。
その後、加代ちゃんもそれに気づく。
志乃ちゃんはただ友達が欲しかったんだと。
はみ出し者同士仲良くやろうよじゃなく、
ただの友達が欲しかったのか。と。
そして、気づいた後の
魔法は要らない。だろう
ステージにたって、私たちを馬鹿にしたあいつらを見返そうよ!じゃない
そんな魔法は要らないから、ただ友達で居て欲しい
そんな歌だったのだろう。
だから志乃ちゃん
名前が言えなくてもいいし、魔法を使えなくてもいい。君が君でいれば良い
秋の寒空に追い込みをかけるかのような風に飛ばされて
君に届くだろうか。
そう思った
多分血を抜かれ過ぎたのだろう。
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