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痛ましい事故(静岡・ヘリ墜落)

2020年年の瀬の12/30、島田市でヘリが墜落し、パイロット一人が亡くなりました。機体はロビンソンR66というヘリでガスタービン機です。このヘリの特徴は、2枚ローターのシーソーローターを採用していることでしょうか。

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シーソーローターとは、二枚ローターのヘリによく見られる構造で、付け根がシーソーのようになっておりローターがフラッピング方向に自由に動くような構造になっています。これは、操舵した時のローターの傾きをシーソーで逃がし、ローターマストの応力を減らすためのものです。当然ですが、突風などでローターが外力を受けた場合、このシーソーは動きます。事故調査の結果が出るまで正確なことは言えませんが、今回の事故はここに原因があるように思えます。

 ヘリコプターには「超過禁止速度」というものが定められています。これは、あまり速度を出しすぎると、ローターの揚力が回転位置によってアンバランスになってしまいヘリコプターは安定しなくなるのです。シーソーローターの場合、そのアンバランスをシーソーで吸収するため、結果的にローター回転面が傾きます。その傾きがあまりにも大ききくなると、ローターの一部がテール部分に接触してしまうことがあるのです。

 事故当時、強風注意報が出るほどの強風が吹いていたようです。その時の対空速度は(機体の速度)+(風速)となり簡単に超過禁止速度を超えてしまった可能性があります。その結果、ローターが過度に傾く→テールブームに接触→テールブーム内のテールローター ドライブシャフトや操舵系統を破壊→制御不能 となった可能性が十分に考えられます。

 事項当時、業務での飛行の帰り道で機体もレンタルだったため、多少の悪条件でも飛行してしまったものと思われます。今後このような事故がなくなることを願っています。また、パイロットの方にご冥福申し上げます。

 ちなみに、私が開発し、現在運用しているヘリUAVもシーソーローターではないですが、フラッピング方向にローターが傾く機構となっているので同様の事故になる可能性は十分にあります。

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