あたらしい春
春はいつもどうも苦手でこまるな。
何年前かの春、自分は春が苦手だとずっと言っているが、もしかして好きすぎるせいで苦手になっちゃってるのかな?と思ったことがあった。なんでそんなこと思ったのか詳しくは忘れちゃったけれど、多分その春はどうしようもなく楽しくって明るかったんだと思う。そんな魔法が解けた今、そわそわざわざわ、やっぱり春って苦手だなと思う。
最近買った岡本真帆さんの「あかるい花束」という短歌集の初めの方にこんなのがあった。
それを本屋で読んだとき、ほんとうにそういう気持ちだよ、と思って半分泣いた。言葉がぴかぴかひかって見えた。だから買った。きっと4月を乗り越えるお守りになる。
わたしはずっと、夏を待っている。あの馬鹿みたいに暑くて、何も考えなくてよくて、真っ白な朝陽に励まされる夏。
わたしは明日から社会人になる。社会人になれることは実はけっこううれしい。学生生活をもう一度やりたいとかいう感情が全然ない。そもそも過去に戻りたいとかいう気持ちにならない。友だちとよく、「今が一番楽しいよね」って話す。そういうことを言い合える友だちがいる今が一番楽しくてきらきらしてる。
過去を振り返って、あの頃の自分はもういないなと思って悲しくなることもあったけれど、もうあの頃のわたしに戻る必要はないなって最近は思うよ。あの頃のわたしに手を振ることに対して、少しの物悲しさを感じるけれど、今の自分をくれたたくさんの人のことをちゃんと大切にしたい。
わたしの周りには春が苦手だという人がぽつぽつといる。そんなみんなと桜が散り始めたころに会って、最近どう?って話したい。君は体調大丈夫かな?
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