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【第99回全国高校サッカー選手権大会】決勝/青森山田vs山梨学院《無観客/激闘の110分/PK決着》と総論

 第99回全国高校サッカー選手権大会。今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴い、初となる無観客での決勝戦となった。
 例年とは違いスタンドからの声援や演奏、一つ一つのプレーに対する歓声はなく、選手やチームスタッフの声、審判の笛、メディアのシャッター音が響き渡った。しかしこの異例の大会でも選手たちは激しく、タフで、見応えのある試合を繰り広げてくれた。

【決勝戦】

 キックオフから激しい攻防を繰り広げ、互いに気持ちの入った立ち上がりを見せた。

 先制点は山梨学院。前半12分、カウンター気味に右サイドから中央でパスを受けた11番広澤灯喜選手がペナルティアーク付近からシュートを放ち、相手DF2人の間を抜けゴール左下に吸い込まれた。先制を許した青森山田は、幾度となく山梨ゴールに迫るも、堅く粘り強い山梨学院の守備陣を崩せず、一方の山梨学院も良い形をつくるも追加点には及ばず前半を0-1で折り返す。
 
 後半も青森山田は猛攻を仕掛け、後半12分、右サイドからのロングスローのこぼれ球を2年生10番松木玖生選手がボレーシュート、1度は山梨学院主将でGKの熊倉匠選手が弾くも、こぼれ球を浦和レッズ内定の藤原優大選手が詰め同点。
 青森山田の勢い止まらず、同17分、途中出場11番藤森颯太選手の右からのグラウンダーのクロスに後ろから走り込んできた7番安西颯馬選手が滑り込みながらゴール左下へ流し込み逆転。
 
 しかし、試合は終わらない。逆転を許した山梨学院は同33分、敵陣内中央でファールを貰うとリスタート。ボールを受けた7番笹沼航紀選手が縦に運びスルーパスを送る。青森山田守備陣は体を投げ出しボールに触れるも、そのこぼれ球を10番野田武瑠選手が左足で押し込み同点。一瞬の隙を突いた素晴らしいゴールで試合を振り出しに戻す。
 追いつかれた青森山田は同43分カウンターから千載一遇のチャンスを迎えるも、ボールはクロスバーの上を超えた。
 
 90分を戦い抜き2-2の同点。10分ハーフの延長戦も激しい攻防を繰り返したが得点は生まれず勝敗の結果はPK戦へ。
 互いに1人目がしっかり決めたが、青森山田の2人目をGK熊倉匠選手がストップ。更に青森山田4人目も左下を狙うも惜しくも外れPK失敗。山梨学院は4人全員成功し試合終了。山梨学院が11大会ぶり2度目の日本一に輝いた。

【総論】

 今年度は新型コロナウイルスの影響でサッカーに限らず、思うように活動できない状況が続き、難しい1年だった。
 
 しかし、そんなコロナ禍の中、影響を感じさせず各チーム、各選手がそれぞれの想いを背負い日本一を目指し戦った今大会は、我々に勝敗以上の価値を与えてくれた。「勝ち負けの世界だから」と言う人もいるだろうが、そんなことは分かっているし、選手たちも当然勝敗にこだわっている。
 それでも目に見えないウイルスと闘い続ける状況の中、目標を掲げ、戦い続ける高校生の姿は観る者の心を動かした。
 
 全力で夢追う姿は誰かの心を動かし、もしかするとその人の人生を変える可能性もある。そんな将来への希望を与えてくれた。

 今後、新型コロナウイルスがどうなるか分からないし、別の問題が起きるかもしれない。ただ、その様な状況でも、多くの人を勇気づけ、希望を与えてくれるような『第100回全国高校サッカー選手権大会』を期待したい。

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