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37歳のお遍路 DAY2

6月9日(金)
お遍路2日目の朝。6時30分起床。

今日は昨日ギリギリで納経出来なかった、55番 南光坊のリベンジマッチから始まる。

昨日事務員さんは朝9時にならないと居ないと言っていた。しかし、ネットには7時からと明記されていたので、とりあえず8時前に行ってみることにした。

やはり居ない。

とりあえず走行計画を立てようとアプリを入力。
少し時間がたったので辺りを見渡したが誰も居ない。他のお遍路の出入りもない。

なんかおかしいと外に出てみた。

間違ってたー!四国ならでは!


まさかの寺違い。真横のお寺だった。
思い込みって怖い。

55番 南光坊

気を取り直して、次のお寺58番 仙遊寺へ。
地図の距離も遠いし、山の上にある。
先人のブログでは自転車を置いてから1時間の山道と書いてあった。

実際、坂道はだいぶだいぶキツかったが、何とか1時間半で任務完了。

山からの景色は最高だった。

58番 仙遊寺
かなり山の上
景色はこの寺好き
一句詠んじゃいそう

次の目的地はヒマラヤスポーツ。

前日に産休中の同僚ピーチ姫から、「自転車でお尻が痛いなら厚めのスパッツを履け」という金言をいただいていた。

実はサドルにお尻を乗せるのが怖いくらい痛かったのだ。

ヒマラヤスポーツで野球用のスライディングパンツを購入。、

スパッツを勧めてくれた彼女はこの度のMVPになるだろう。

59番 国分寺

スパッツ効果で快調に走行し、59番 国分寺に到着。
ここでこの旅で初めて現地の人に話しかけられる。

「おにいちゃん、お遍路かい?どこから来たん?」

お尻が痛みが軽減され眉間の皺が減ったからだろう。

さぁ次は今治→伊予小松だ。

約20キロだったが平坦な道だったため1時間30分で到着した。

だいぶ余裕が出てきた。

私は愛媛出身で営業でも愛媛担当をしていた。

特にこの辺りはよく運転していたので、
「あっ、ここはあの時のところだ」の連続だった。

初見の楽しみは徳島、高知だなと考えていると、

この旅1番の未開のスポットを発見!

こうゆう景色との出会いは旅の醍醐味だ。

中山川橋
無類の川好きな私 オオサンショウウオみたい


しかし、その10分後。
その橋はよく通っていた国道に繋がることを知る。

高速道路から見えていた謎の小さな森に遭遇
63番 吉祥寺

63番 吉祥寺に到着。残りは1箇所のみ。

体力ゲージは残り20くらい。
でも最後だし頑張ろう。

その時は確かに頑張れると思った。

残念ながら60番 横峰寺は別格だった。

目的地までの距離は約15キロ。

今が13時だから17時着は楽勝でしょ。

完全に気を抜いていた。

そこは西日本1の山脈、
石鎚山に通ずる山道であった。

まず、当然の如くひたすら上りの山道。

しかも、自転車や荷物の重量は20キロ近く。

歩いても歩いても距離が減らない。

山道とは
黒瀬ダム それでも景色は綺麗


自転車を押し続けて約2時間が経過。

もし、タイムマシンで過去に戻れるなら
横峰寺の住職になるだろう人物に、
「山に寺を建立するのだけはやめておけ」と助言を送りたい。

もうしばらく水もない。
フラフラになりながら、やっとの思いで料金所と書かれたロッジを発見。

ようやくお寺の入り口か。

料金所のおじさんに後どのくらいか聞いた。

「お寺はここから6キロだよ」
「今までの道でキツイならたぶん無理だよ」
「2時間近くかかるから、時間的にギリギリだよ」

お遍路ってこんなにしんどいの?

でも、もう行くしかない。

おじさんにお礼をし、少しだけ歩を進めた。
しかし、もう一度戻っておじさんに聞いた。

「帰りのこと考えたら自転車で行った方がいいと思いますけど、登るだけなら歩いた方が早いですよね?」

私も本気だ。

ここでの遅刻はシャレにならない。

おじさんは頷き、親切にも自転車を置くスペースまで作ってくれた。

自販機がどこかにないか聞くと、
「お寺にはあるよ」とのこと。

すなわちあと2時間は何も飲めないことを意味する。

「若いからスムーズに行けば大丈夫だと思う。駐車場まで行かずに着く道も教えてあげる」

おじさんは神対応だった。

もう、やるしかない。

「14番の札を超えてから右」
「14番の札を超えてから右」

反芻しながら登る。

全然2番の札に辿り着かない。

ビックリするほど足がパンパンだ。

太ももの毛細血管が全て針金になったような感覚から、太もも自体が丸太になったような感覚に変わっていった。

水がキレイ


必死の思いでようやく4番の札に辿り着いた。
もう30分くらいは歩いている。

この地獄があと1時間半?

さすがに喉が限界だ。

すると、奇跡が起きた。

オアシスを生まれて初めて見た。

電柱にはお水と明記 水なのは見れば分かる
オアシス


この歳で水を両手で掬ってごくごく飲む経験をするとは思わなかった。

お世辞抜きで美味しい。
そして、ちゃんと少し元気になった。

ここからの記憶は曖昧だ。

1時間ほど登り、朦朧としながらも14番の札に着いた。17時まで残り30分。

絶対にミスれないのでスマホで道を確認。

現在16時30分 → 所要時間28分

まさにギリギリ。
てか、昨日からギリギリ多ない?
お遍路ってスピードレースなん!?

冷静になって考えた。

この体力でGoogle先生の指示通り動けるのか?
着いても納経場にすぐ辿り着かないとジエンドだぞ。

間に合わなかったら明日往復6時間おかわりだぞ。

野宿が頭をよぎったその時。

奇跡は二度起きた


ガタゴトガタドシャーン

ブィーン、ブンン

背後から凄い勢いで軽トラックが走ってきた。

軽トラが何故か私の横で止まる。

運転手が言った。

「はやく荷台に乗れ!」

何と軽トラの運転手は料金所のおじさんだったのだ。

私が登れたのか気になって、料金所がしまってすぐ追いかけてくれたそうだ。

・・・全中四国が泣いた

今日のMVP
無舗装の道をワイルドスピード
生まれて初めての荷台


ディズニーのどのアトラクションより早く、激しく山道を攻める軽トラ。
比喩ではなく何かを掴まないと吹っ飛ばされそうになった。

寺に着くやいなや、お礼も仕切れないうちにおじさまは帰って行った。

神対応は進化し、仏対応になった。

おじさまがいなければ、17時は間に合わなかった。
だって納経場に着いたのが16時50分なのだから。

60番 横峰寺 RPGの村みたいだった
仙人のようなご老人が書いてくれた

感謝の心を噛み締めながら、自販機のオロナミンCを飲む。

元気ハツラツにはなれなかったが、こんなに美味しいんだとは思った。

ちょうどそこに自販機のドライバーさんが来て、
「お遍路さんですか?若いのに凄いですね」
と声をかけられた。

こんなところにまで運んでくれる伊藤園さんこそありがとうである。

総括すると、今日1日「スパッツが産んだ笑顔」によって助けられたってことか。

ピーチ姫ありがとう。笑顔って大事ですね。
これから安産も祈願することにしよう。

何にせよ、超絶大変だったけど明日も頑張ろうと思えた。

小松ビジネス旅館
中はビジネス感なし
マルブン本店
激うまクラフトビールが¥380 ピントはビール

▼2日目走行記録
総距離:66.7km
走行時間:10時間55分
納経:5箇所(計9箇所 残り79寺)

標高と高低差がやばい

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