花束みたいな恋をした

ファミレスで麦くんと絹ちゃんがイヤホンをシェアして音楽を聴くシーン。
この曲で俺は自分の当時の環境や感情、匂いみたいなものが一気に、そして鮮明にフラッシュバックしてしまい、もうそれ以降はずっと涙を堪えながら映画を観ていた。

このビデオの公開日は2015年1月15日。遡ってみると、ちょうど受験シーズンだった。高校三年生の頃といえば、部活の先輩かつ東進の担当チューターだった若月さん(現在はムノーノ=モーゼスのボーカル)に借りたYogee New WavesのPARAISOをパソコンに取り込んで、繰り返し聴いていた。他にもいろんな音楽を教えてもらったし、自分の好きなものについても話していた。ハロウィンの仮装はN'夙川BOYSのマーヤで(友達の中にはSiMのMAHやグドモのたなしんもいた)、2PMが好きな女子グループとは仲良くなれず、セカオワのドラゲナイが一世を風靡していた。中島哲也の「渇き。」を観て小松菜奈のファンになり、写真集やPOPEYEのガールフレンド特集を大切に保管していた。松岡茉優と二階堂ふみと高畑充希が同時に拝める「問題のあるレストラン」を毎週楽しみにしていた。受験が終わった春、大好きだったサラバーズが活動休止を発表し「青春の象徴 恋のすべて」をリリースした。梅田クアトロのラストライブで泣いた。若月さんに「大学の同期でカッコいいバンドがいる」と言われパノラマパナマタウンを知った。ロールプレイングを聴いて高揚した。岩渕さんの眼差しは鋭く、黒いテレキャスターは日本刀のようだった。そんな全ての思い出を主人公二人に重ね合わせる。

あの頃から今日まで、本当にいろいろあったなぁと感傷に浸ってまた泣きそうになる。楽しいことも苦しいことも、少しはドラマチックなことも、あった。ひとつひとつの思い出は今でも自分の中の柔らかい場所で生きていて、「花束みたいな」ってこういうことかなと思った。

柄にもなく感情的でポエミーな文章になってしまった。これぞ深夜。

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