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RIZIN 8月9日、10日を振り返る

【半年ぶりの再開。改めて感じる凄さを現地レポを交えて】
待ちに待った復活。自粛明け日本人のみで組まれることとなり、メンツの薄さから懸念の声も聞かれていたものの、ふたをあけてみれば好試合の連発。
2日通してまさに神興行で終えたと思う。
これも開催に尽力いただいた榊原CEOあっての事で、本当に感謝を申し上げたい。
圧巻のKOでバンダム級のカオスにまたニューエラを起こした朝倉海を中心に振り返りたい。

圧巻のKO!もはや視界はUFCか

戦慄と興奮をMAXにプレゼン、仕立て上げたのが今回の主役、朝倉海である。
この10年のキャリア11戦で1本負けは堀口恭司のみ、下馬評判定勝ちで戴冠する評が圧倒的多かった扇久保を1R KO。
衝撃だった。ぴあアリーナ2日通して観戦したが、立ち上がって感情を爆発させる客がいたのはこの試合のみで、筆者もそうなった。
(→真後ろがたまたま扇久保応援団で、静かに座りなおしたのはここだけの話)
もともとは筆者の予想は「扇久保、漬けの展開による3Rユナニマス判定勝利」。
相手がレスラータイプで、海は苦慮すると感じていたが結果スタンドでのプレッシャーと圧、絶妙な距離感で翻弄、見事なKO勝ちで年末の完敗の雪辱を晴らした。

ファンの期待値をいい意味で裏切り続ける海の凄さ

このコラムを書く現時点まで残る海の試合後の余韻の質はなんなのか。彼の試合を見た後いつもものすごい深い感情に陥る。

それは単に技術的な攻防の画によるものであったり、朝倉兄弟のブランドであったり、彼の表情オーラであったり様々な項目に起因する。
タブーを壊しているともいえる。RIZINバンダム級は混沌としているという事実、トーナメントなどできれいに勝ち上がったものが勝者、この相手には勝てないだろう、などといった幻想を俯瞰した視点で簡単にぶち壊す。
混沌となんてしていない(海が最強、頭抜けている)と思わせるほどの強さ、均衡しているからこそ行われるべきともいわれるトーナメントの不必要性、四天王や堀口にはさすがに勝てない(勝っても競り勝つという)という考えをすごい勝ち方でぶち壊す。
ちょっと最近まで段階を追って作り上げてきたファンの考えや前提をなかったことにされてしまうくらいの衝撃、強さなのだろう。そのGAPこそがこの感情の要因と言い換えることができる。

去年の堀口戦後、「不可能なんでないっていったでしょ。それが証明できたかな」
と語っているが、彼の頭はほとんどが「できる」というポジティブなのだろう。
誰しもが頑張っても簡単に得ることができない思考力を、天性といった部分の解釈だけではなくアウトサイダー時代からコツコツと培ってきたという事実で大きいものにしている。
(愛知豊橋の不良がローカル団体で実績を積み結果を残すなんて。恐ろしい)

「海の視界はUFC」という話は、本人談からの考察で周知されているが、もはや上記のGAPを埋めるには「UFC世界バンダム級王者」戴冠を成し遂げてもらうしかない。
それだけファンの思考は高まっているし、対四天王、対金太郎というカードではもはや微妙に感じてしまう。

2020年12月31日 堀口恭司VS朝倉海2 第一章完結へ


榊原CEOの総括から鑑みて、年末のメインは同カードがほぼ決定的といえる。
堀口選手も早速呼応し、受ける姿勢を見せている。
今回の海の戴冠により、去年のリマッチ前の下馬評のなごりやにおいは、もうどこにも残っていない。
「海はまぐれだ。堀口やったれ」「総じて海は強いにしても、順当にやれば堀口」といった声だ。
今では逆に「堀口、大丈夫か」「総じて海のユナニマス判定勝利」「デジャブを得ることになる」といった声で状況は様変わりした。
期待やファンの思いは幾重にも塗り重ねられている。
このまま海が伝説を作るのか、はたまた堀口がメジャーリーガーとしてスペシャルを示すのか。
いずれにせよRIZIN史上最高のMMA対決となることは必至で、そのレベルはUFCとは引け劣らない。ひょっとすると超えることはないであろうと思っていたあの立ち技2人のメガマッチへの期待値を、年末までの期間で超えてくるかもしれない。

そう思わせてくれた今回のRIZIN23は役割を全うした。
この戦いに向けた考察は適宜記すとして、次回はその他の試合の感想を書きたい。

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