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【2020】COMIC OF THE YEAR


イエイイエイ!漫画!大好き!漫画!最高!



2021年がやってきちゃいましたが、2020年のCOMIC OF THE YEARをやってしまいます。


2020年はたぶんここ10年で「最も漫画を読んでいない」年でした。

音楽もだけど、かなり受動的になっておりまして。面白い漫画を貪欲に掘り!漁る!という姿勢ではなかったんですよね。エネルギーがどうしても割けなくって。ぶっちゃけると、ジャンプ+とDモーニングしか読んでません。ほとんど。数年前はスピリッツとかヤンジャンも読んでいたんですが、ここ1年読んでないんだよな。

なので、今回選んだ作品もジャンプ(集英社)かモーニング(講談社)で、5作品です。世のコミックフリークさんのように話題の作品を手あたり次第!のような漁り方をしていたらとても5作品では済まなかったと思うのだけれども。

音楽で言う年間BEST ALBUMと違って、漫画作品は年をまたいで連載されているし、選出基準を決めるのに迷ったんですが、2020年現在で漫画誌に連載されている/いたこと。にしました。


では、どーぞ。





「スインギンドラゴンタイガーブギ」灰田高鴻

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漫画読みとしての自分、今年はこの作品をなくして語れません。週刊モーニング連載中の「スインギンドラゴンタイガーブギ」。

下記リンクのnoteにて熱く語っているので、詳しいことはそちらで読んで欲しいのだけれども、「太平洋戦争終結から6年後の日本を舞台に、戦後日本の芸能界のルーツのひとつともなったジャズを軸に、とある男性を捜すひとりの少女のおはなし」なのです。下記、5月に書いたnoteなのでむろん、話はだいぶ進んでいて、既刊2巻まで出ています。主人公・とらちゃんのおきゃんなボクっ娘の魅力はそのままに、いろんな新キャラも出てきて、ストーリーもいいあんばいに転がっています。チャー会・・・!!

第1話はこちらから。




「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」泰三子

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続く「ハコヅメ」も週刊モーニング連載中。既刊15巻。架空の町にある岡島県警町山警察署の交番(=ハコ)に勤務する新米女性警察官を主人公に据えた、警察日常漫画。作者さんは女性警察官として10年勤めたあと漫画家デビューしてるそうです。

この作品の最大の魅力はなんつっても独特のタイム感があるギャグの応酬ほぼコントです。下手な芸人よりツッコミのキレ味が鋭い。マイナスポイントはキャラの顔の見分けがつかないこと(特に女性キャラ)だけど、だんだん慣れてきてもうどうでもよくなってきた。

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かと思えば、シリアスな涙を誘う展開もあり、社会問題に切り込むおはなしもあり、いろんな武器を持ってるところも強い。そんなこんなでコミックは100万部突破だそうです。そろそろドラマ化の話も湧いて出そうな気がするけれど、意外と難しいと思うぞ。特にあの「間」だよなあ。

第1話はこちらから。





「とんがり帽子のアトリエ」白浜鷗

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「とんがり帽子のアトリエ」は、モーニングの別冊「モーニングツー」に連載中。世に「魔法使いモノ」「魔女モノ」は数あれど、すでに傑作のひとつとして挙げられる作品だと思います。既刊8巻。

世界を豊かにする便利な奇跡として魔法が存在する世界。魔法使いに憧れる少女・ココが、母を助けるために魔法使い・キーフリーの弟子となり、彼のもとで修行する同門であるテティア、リチェ、アガットともに成長していく・・・・というお話なのですが、世界にはキーフリーのように魔法に対しての禁忌や制約を守る「とんがり帽子」の魔法使いに対し、制約に背を向ける「つばあり帽」の魔法使いが存在し、彼らの干渉によってココたちの平穏な日常は少しづつ澱んでいきます。

ファンタジーは創造主の思うがままに世界観を造りあげることができる、というのが最大の魅力だと思うのですが、「とんがり帽子」はいわゆる中世ヨーロッパ的世界をベースにしながら、特殊なインク「魔の墨」を用いて魔法陣を描き、陣の掛け合わせによって新しい魔法を生み出せるという数学的な魔法の設定をはじめ、アイテムや生き物、グルメまで多岐にわたる独創的な世界観がほんとうに素敵です。

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もうひとつの魅力は、絵ですね。1巻のアートワークからもわかるように、繊細な筆致で描く世界、そしてそこに生きるキャラクターたちは真に芸術的であり、特にカラー絵はため息がでるほどの美しさ。額に入れて飾りたいくらいです。

ココを始めとする弟子=子供たちと、キーフリーやオルーギオなどの大人たちの関わり合う様も丁寧に描写されていて、子を持つ親として「教育」について考えさせられる作品でもあります。でも、その大人たちも悩んでいて、もちろん完璧ではないのです。そんなところも良いんだな。

とんがり帽子はどこかでもう少し深く語れたらいいですね。きりがないな。メディアミックスがあるとしたら、下手にテレビアニメなどではなく、超気合を入れた美麗作画の映画で愉しみたい願望がある。


第1話はこちらから。





「SPY × FAMILY」遠藤達哉

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さて、講談社から集英社にうつりますよ。

ちょっとすごいことになりつつある「SPY×FAMILY」はご存知の人も多いかと思います。ジャンプのWEBコミックアプリ、「ジャンプ+」の看板コミックです。コミックの売上がシリーズ累計800万部突破、ってWEB連載作品では異例の数字だと思うんですけども、もうWEBとか紙とか関係ない時代になっているし、なんだったら数年後にはジャンプ+が週刊少年ジャンプを凌駕している可能性は十分にあると思います。

「SPY × FAMILY」は赤の他人だったスパイの男、殺し屋の女、超能力者の少女が「仮初の家族」を築き、「家族としての普通の日常」を送るために日々のトラブルと奮闘するホームコメディ(wikiより)、というおはなしではあるのですが、人気のポイントは3つだと考えてます。

①設定の妙

夫=凄腕スパイの黄昏、妻=いばら姫のコードネームを持つ殺し屋、娘=孤児院で育った少女・アーニャ。3人は全くの他人なのだけど、お互いの利害関係でその素性や能力を隠しながら「家族になる」物語です。このアーニャが「他人の心を読める」という設定にしたのが本当に上手くって、この設定がストーリーを俄然面白くした最大のポイントだと思う。

②アーニャの可愛らしさ:

天真爛漫だが言葉遣いもたどたどしいアーニャ。黄昏の任務のために名門小学校に入学しますが、実は推定4~5歳。孤児院で育ってきたため、偽の家族だとわかりながらも家族生活を満喫しようとする様子が愛らしくていじらしい。なんか悪いこと企んでたりする表情とか可愛すぎて。彼女のキャラクター造形が、作品の人気に大きく寄与したことは間違いないでしょう。

③絵柄の親しみやすさ/ポップさ:

明快でわかりやすく親しみやすい筆致、決して破綻しない安定感。遠藤達哉氏の毒素のない絵柄はこの作品のヒットに大きな影響を与えていると思います。スリルはないが、安心はある。万人に受けるポピュラーさって、そりゃもちろん大切ですよ。

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「ジャンプ+じゃなくってジャンプ本誌に連載しても充分に看板を張れるのに!」という声も聞かれるし、自分も最初はそう思ってました。しかしながら、WEB/紙の優劣がなくなりつつあるという事情もさることながら「幼い娘を中心にした家族モノ」という側面から考えて、やっぱ「ジャンプ+」で良かったのではないかと思い始めている。自分とこがモロにそうなのだけど、5、6歳のこどもを持つ家族が感情移入しやすくするためには、仕事帰りなんかにスマホで手軽に読めるジャンプ+が適していたのではないか。30代~40代で週刊少年ジャンプを紙で購読し続けている人は少数派なのではないかと思うし。もちろん本誌連載でも人気は出たと思うけれど、ここまでのヒットはなかったのでは。

近々のアニメ化は大アリだと思います。ゴールデンタイムでも安心。


第1話はこちらから。





「チェンソーマン」藤本タツキ

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さて来ました「チェンソーマン」です。2020年最大級の衝撃でした。

「ファイアパンチ」の作者がジャンプ本誌に移って連載してるんだなあという認識しかなかったんだけど、最終回1話前を何気なく読んだ(立ち読み)ら衝撃を受けてしまい、気づけばあっという間に既刊9巻を読み終えてしまいました。性急に猛スピードで話が進んでいくし、人はバッタバッタ死ぬし、臓物が飛び散り血が噴き出るし首がすっ飛ぶし、伏線の張り方が神業級だし(小動物のくだりとか戦慄した)、久しぶりに「ページをめくる手が止まらない」体験をしてしまった。

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一読して「絵がちょっと」という意見もわかるんだけど、ドライヴ感を出すためにわざと粗くしているような節もあるし、それになんといっても、絵が云々というよりも、映画マニアという作者の趣味嗜好も納得できるコマ割りや構図、せりふ回しを含む「漫画の構成の上手さ」がもう異次元の領域に達している。これは本当に凄いですよ。序盤から興奮の連続で、レゼ編~サンタ編は感動的ですらあった。8巻~9巻の展開は漫画史に残ると思う。

これだけ危うく破綻しそうなストーリーを見事に纏め上げた手腕は見事!

どうやら「鬼滅の刃」の"次"を「呪術廻戦」とともに担う流れになっているようで、「このマンガがすごい!第1位」を獲得以降、各メディアが祭り上げる記事が目立ちますが、毛色が全く違うのでなんだかとんちんかんなことにはならないように祈りたい。黒緑の市松模様のグッズを身に着けた小学生男子には間違いなくお勧めできないし。

第二部はもちろん、アニメ化は本当に楽しみ。「進撃の巨人」と同じように、(クオリティが高い)アニメ化を経てさらに人気が爆発する可能性が高いと考えています。

チェンソーマンはどっかでまた語り尽くす機会があれば。考察しがいのある作品でもありますね。

PVも観て欲しい!めちゃくちゃかっこいいんだよなあ・・・!!


「このマンガがすごい!」受賞時


9巻発売時




以上!

2021年はもっとマンガ読みとして充実した1年にしていきたい。


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