【気まぐれな春の天気の中、契約法務を振り返ってみる~前編】

先週は春の暖かい日差しを感じる日もあれば、冬に逆戻りしたような日もあって目まぐるしい週でした。それにかこつけてNoteの更新がなされないままでしたが。。

さて4月も2週間過ぎ、新入社員の研修真っ盛りだったりします。本屋に行くと新社会人をテーマとした本や雑誌が色々置いてますが、以前取り組んでいた法務の仕事も(僅かながら)見かけます。
という訳で最初のテーマとして法務、その中でも一番取り扱うことの多い契約法務について振り返りたいと思います。

1. 契約法務に必要な知識を振り返る

契約法務に必要な知識は何でしょうか?と聞かれると大抵の法務担当者の方は

「民法です(即答)」

という答えが多いかと思います。
確かにその通りでその点は反論しようがない。実際、法務担当者のための民法の本とか、民法の視点を重視した契約実務の本とか、とかく民法(特に総則と債権)は契約法務とは切っても切れない関係です。それだったら法学部卒である程度民法を勉強した学生なら、法務部門に配属されたらすぐ契約を作成できるような気がします。しかしながら私もでしたが現実にはそうではなかったわけです。

民法、ひいては法律も重要ですが、それ以上に重要なのは

「自分が担当する取引・業界の知識・理解」
「上記知識・理解と法律を結びつける想像力」

といったところでしょうか。全然法律関係ないですね。しかしながらこの法律とは関係ない部分が一番重要であると思います。
例えばメーカーですと、自分が所属する会社の事業や製品について研修で詳しく見聞きする機会が多いと思いますが、それ以降は営業担当から具体的な用途等も聞いたり、自分で製品について自主的に勉強したりもします。この作業が極めて重要。

一番契約の中で争いになりやすいものの一つに、品質保証があります。法律的に考えれば、もっと言うと法律だけで考えれば、品質保証は瑕疵担保責任(民法改正後は契約不適合責任という、一見契約そのものが適切でないような不慣れな言葉に変わりますが)だけで考えて、「隠れた瑕疵は保証する」で終わってしまいそうです。

しかしながら製品の特性(原材料なのか、中間品なのか、最終製品なのか)や事業の重要性により、どこまで製品の品質を保証するかしないのか、射程範囲(法学部生や法律かじった人が好みそうな言葉をあえて入れる)を決めた方が妥当な契約を作れることが多い。隠れた瑕疵だけでなく、より保証しなくてはいけないケースもあり得るわけで、上記のビジネスサイドの判断や理解が大きくそれに影響を与えることはあります。

2. 想像することの重要性

想像力は、製品の品質問題が起きたら損害賠償責任を負うという、「法律知識だけで考えられる結果について」のみをイメージするだけでなく、その製品が製造されて出荷、ユーザーに納入され、実際に使われるまででどういう問題が生じるか、想像することです。そうなると必然的に、製品の作り方とか、荷姿とか輸送の仕方とか、受入検査の仕方とか、どのように使うのか(混ぜるのか、組み入れるのか等)、サプライチェーンやビジネスにも気を配らないと的外れな契約が出来上がってしまいます。

そういう意味で、契約を作るのは深く取引や業界への理解、その理解を権利や義務を定める根拠となる法律に結び付ける想像力が重要であると考えます。

長くなったので続きは次回に。

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