瀧泉寺電気鉄道別所坂駅レイアウト製作記(その3)
瀧泉寺電気鉄道別所坂駅レイアウト製作記(その2)からの続きです。
■同潤会アパート
このレイアウトの目玉です。あまぎモデリングイデアでイベント限定で販売されていたもので、ほぼストレートで組んだあと、汚れ等の防護のためツヤ消しのクリアラッカーを吹き付けています。屋根等はグレーのパステル等を駆使して古びた感じを出しています。
実物はところどころから草がぼうぼう生えていたので、それをまねてみました。ひさしなど角があるところを中心に草を生やしています。屋根には、ミニネイチャーのコケ等をちょっとしつこいくらいに貼っています。
独身者用の短いほうは半分にしたり、はみ出ているところを削除するような改造を加えて、狭いところにも置けるようにしました。ペーパーキットの改造は比較的容易なのですが、切ってしまった部分を元に戻すのはむずかしいので、よく構造を見ながら進めることが必要でした。
■ほかのストラクチャー
マンション3種類
いずれも代官山駅付近にある実際のマンションをプロトタイプに作成しています。
縦に長い給水塔があるマンションは、KATOの詰所をふたつ使って縦方向に伸ばしたものを使っています。屋上はこばるのフェンス、給水塔はプラ板で自作しています。実物は代官山駅の写真で必ず写るランドマーク的な建物です。
そのとなりのは、コの字形のベランダが特徴的なマンションです。各階の出入口のところはGMの詰所から取りましたが、あとはプラ板からの自作になります。プラ板をチョッパーで同じになるように切り出し、土台となるベランダの床に張り付けてきます。柵はアイコムのホーム柵を利用しています。ちょっとしたポイントですが、ベランダを個別で1階ぶん丸ごと作り、それを本体にはめ込むようにして強度を確保しています。
また、あとからの工作でエントランスを作りました。屋根はGMの小型駅についてくるキオスクの売店から取ったものに、プラの丸棒を組み合わせています。
トンネル入り口のところにあるのは、トミックスのマンションを切り詰めまくったものです。実物は斜めにカットされていないのですが、好みでそのままにしてみました。
いずれもフォーリッジやGMの塀などで囲みを作ったりして、敷地がそれっぽくなるように工作しています。また紙でカーテンなどを入れています。こうしたちょっとしたもので生き生きしてくるのが、なんとも楽しいところです。
商店街の建物
KATOの商店以外は、いずれもプロトタイプがある建物です。いずれも基本的にはGMの商店や住宅キットから切り継ぐか窓枠だけ取り出し、プラ板で足りないところを補っています。お気に入りはマンサード型の屋根を持つ商店です。特徴的な屋根は自作しています。プロトタイプは道玄坂に昔あった商店たちと築地で見かけた床屋さんをベースにしています。
商店の看板等は実際のものを写真に撮り、縮小して家にあるインクジェットプリンタで印刷してシール化しています。
角のビル群
手前の古いビルはGMの住宅の窓を縦横に重ねてパテで埋めて平滑にしたものを使っています。
真ん中はKATOのビジネスビルを三角に切り詰めて使っています。
その隣はGMの詰所から側板を切り出して縦に並べたものです。レンガ部分は実物がてかっていたので、そのようにしてみました。
いずれもガンダムマーカーのスミ入れペンで窓枠から垂れた水のシミを表現したり、パステル等でウエザリングを施しています。
ローレリーフのビル群
角のビルだけではなんとなく物足りなく思い、ローレリーフ状のビルを置いてみるにことにしました。ちょうど折よくGMから3階建てのビルが発売されたので、その裏側部分を2つ切り継いで5階建てにしています。配管は想像で付け加えてみましたが、うにょうにょしたところがよい感じです。
実際の渋谷川の近くに古いビルにツタが這っているところがあり、モデルでもまねています。形態が似ていた詰所を縦に並べて作っています。室外機はこばるのやGMの住宅などからの寄せ集めです。ツタの表現は毎回悩むのですが、スケール的によいと考え、フォーリッジをほぐしたものにしました。
階段部分はKATOの詰所に付属していたものを縦に継いでいます。階段自体はなくても階段ぽさを感じさせてくれてちょっと面白いです。
マンション裏の小山
隠れてあまり目立たないところで、当初ビルで埋めてしまおうかとも思ったのですが、少し寂しい気がして、小山を用意することにしました。実際に代官山や目黒周辺の坂があるところをプロトタイプにしています。
土台は余ったスタイロフォームから切り出しています。そこにこばるの階段を貼り付け、木工パテで全体を塗りました。乾いたら道や壁にダークグレーを塗り、小物を追加していきます。階段状のコンクリ塀はGMのそれを切り貼りしています。こちらも近所に実例があるものです。小山の上の木はオランダフラワーとファインリーフの組み合わせです。
家はこれも近所に立っているもので、L字型の構造が特徴的です。ほぼGMの住宅キットから作っています。
この小山、土台にゴム磁石を貼り付けて取り外し式にし、これだけで鑑賞したり手を加えられるようにしました。意外とメンテがやりやすく、よい方法に思います。
■線路脇のアクセサリ
架線柱はKATOの鉄骨形に、こばるのローカル架線柱を組み合わせています。形は良いのですが、見える範囲を広げたいため、あまり数を置かないようにしました。
東急の奥沢車庫にほどよい物置があったので、カーブ部分にそれを再現しています。これも詰所キットの余りから作っています。
■雨の表現
グロスメディウム等で水たまりを作ったり、ホームの色調を変えたりしたのですが、どうにも嘘くさくなってしまうため、最終的には塗装でのみ表現することにしました。
建物の屋根については、半艶程度にして、完全な艶消しにしないことで、雨で濡れてる感じにしました。道路も同様に半艶のダークグレーを吹いています。駅のホームもダークグレーで統一しています。ほんとは濡れているところとの境目を表現したほうがいいのですが、ちょっとわざとらしさを感じて、まとめて同一色に塗っています。
■傘の作り方
とはいえレイアウトを見た人に「雨だ」と認識させるには、もう一押し欲しいところです。いろいろ眺めながら考えることしばし、「人形に傘が必須かも」と思い至りました。それからいろいろな作り方を試したのですが、ほどよかったのが次の方法です。
傘そのものにはWAVEから出ている「I ・チップ (丸)」を使いました。半球形になっているプラでできた素材です。大きさ的に、人形と合わせてあまり違和感のないものを選んで使いました。
ところで傘は円形ではありません。傘の骨組み部分の間に布があることで、多角形になっています。そこでニッパーでフチの部分をちょっとずつ切り、多角形にするようにしました。こちらのほうがなんとなく傘に見えてくるから不思議です。
柄の部分はちょっと太いのですが0.3の真鍮線をまげて、傘部分にドリルで穴をあけて瞬間接着剤で固着しています。
塗装はプラ用ラッカーで澄ましたのですが、実際の傘ってどんな色があるのかよくわからなくなってしまい、何度か雨の写真とにらめっこしています。結局グレー系のほか、黒や派手すぎない赤などに塗りました。
傘の接着は、人形に適宜ゼリー状瞬間接着剤を塗って貼り、白化防止のため瞬間接着剤用のプライマーを抜きかけてすぐ固めています、
こうしてできたものは踏切や駅など、目立つところに置くようにして雰囲気を出すようにしました。なかなかそれっぽくて気に入っています。
■車両について
電車は、大きく分けて鉄コレから改造して作ったものと、グリーンマックスのエコノミーキットを切り次いで作ったものがあります。塗装は西武アイボリー+伊豆急グリーンのツートンです。
ここ最近は三つ目のクエ28タイプなど事業車両、静岡鉄道のA3000形を1Mにした最新車両といった2020年にいてもおかしくない車両の2つをテーマに作っています。
機関車の増備も進めていて、ED12の下回りを鉄コレの機関車に合わせたもの、キッチンから出ている機関車のキットを組み立たものなど、いろいろと手を付けています。
車両数がだいたい50両を超えてしまい、保管用のケースとしてプラ製ファイルケースとキャスコのウレタンホームの組み合わせを量産しています。ファイルケースは100均とは違うしっかりした作りのもので、半透明なので車両を探すときに便利で重宝しています。
■まとめ
都市型レイアウトは建物を作るのがたいへんですが、近所の気に入っている建物をプロトタイプとしたので、普段の日々から楽しみながら作ることができました。作成中は通りがかったときにバランスを見てたりすることが多かったように思います。
緑が多い建物の間を2両編成の電車がのんびりと走っていくのは、なんともいえない至福の時間です。また、たまに東急の電車を走らせたりして往時を懐かしがっていたりもします。よいものができたと自分の中では満足しています。
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