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性別選択で胸の奥がキラっとした話

セクシュアリティ分析ができるanone, というサイトがある。
けっこう前に「あれ?ぼく男じゃない気がする」と感覚が湧き上がってきて利用したことがある。
このサイトの分析によると、ぼくのこころの性は、「Xジェンダー」というらしい。
(他にもいろんな項目があるので、興味のある方はぜひお試しください。)

自分が「男じゃない気がする!」という未知の感覚に若干落ち着きを失っていたぼくは、この「Xジェンダー」という分類に落ち着きを取り戻した。
何者でもない感じというのはとても不安で、あなたはコレですよ。というラベルを貼ってもらえて安心したのだ。

一応マイノリティに分類されるであろうぼくだが、普段は性のことを意識することはほとんどない。
「男でも女でもない性」なので、「男のくせに」「男なのに」という力みも焦りもないし、気楽なものだ。
一緒に歩いている人が自分より力がなさそうだったら荷物を持つ。それはその人の体が男だろうが女だろうが関係ない。
ただそうしたいから、そうするだけ。

そんな日常生活で、最近胸の奥がキラっとすることがあった。
それは、申し込み時に記入する性別選択の項目だ。
ホテル予約の際や何かに登録する時など、さまざまな場面で要求される性別選択。
必要があって記入を求めるのだろうから、その存在の是非はいい。
ただ、自由記述ではなくてチェックボックス式で男女二択が当たり前だ。
ぼくは体つきが男だし、面倒臭いことも嫌なので「男」を選択している。
「Xジェンダー」と知った当初は男を選択するのにざわっとしていたが、今では無感情でなんの反応も起きない。見事に感情と身体の回路をシャットダウンして対応するようになっている。

ところが、最近訪れたある場所の記入用紙には、
「男」「女」「その他」
と三種類の選択肢が用意されていた。
ぼくの手はいつもより素早く、力強く「その他」をチェックしていた。
胸の奥が「ざわっ」ではなく、「キラッ」と少し光った感じがしたのを今でも覚えている。

そう、こんな些細なことがうれしかったのだ。
そして、うれしかったのと同時に、「あぁ、自分は小さく傷ついていたんだな」と気づくことができた。

こころの性、表現したい性、恋愛指向、肉体指向、ほんとにさまざまで、外見だけではわからないことが多い。
未知なものに自然と不安な気持ちを抱いてしまうのもわかる。

でも、お互いが「いのち」として、ただお互いをリスペクトして関わり合う。
そんな世界になっていったらいいなと、自分の傷に気づいた今あらためて思う。
表面だけでなく、それぞれの奥行きを大切にしていきたい。
ほんとうはシンプル。

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