500年後も存在する方法

一番最後に星を見上げたのはいつですか?

僕は東京の西方に住んでいるので、場所によっては周囲が暗く、星がよく見えます。それに最近、メガネを新調したので、オリオン座もバッチリ観測できます。

小学生の頃、理科の授業でオリオン座の右肩の部分を担う恒星「ベテルギウス」について学んだ。ベテルギウスは我々の惑星から500光年離れた所に存在している。光が到達するのに500年かかるということは、室町時代に発生した光が、今ようやく我々の網膜に到達したということになる。

なんと素晴らしいロマンだろう。室町時代を生きた人間と、令和に生きる自分とで、夜空に同じ星を共有しているのだ

しかし近年、そのベテルギウスから観測される光量が急激に減っているという。

500光年離れた惑星。

仮に300年前に既に爆発して消滅していたとしても、その瞬間が観測できるのはさらに200年後という計算になるのだから、あの輝く星は実際にはもう既に消滅していてもおかしくはない。それが「オリオン座のベテルギウス、実はもう消滅してる説」である。学校の先生が言っていたのだから間違っているはずがない。学校の先生はいつも正しいことを教えるので。

とはいえ、現時点では自分の肉眼でバッチリ捉えられているのだから、たとえ既に消滅していたとしても、僕にとってベテルギウスはまだ存在しているのである。そこで想像してほしい。


500光年先の惑星に知的生命体が暮らしていたとする。


彼らの科学技術が人類のそれを遥かに凌駕するものだとする。


それで、500光年先の惑星に生息する生物を虫一匹レベルで観測できる、超スーパーウルトラ望遠鏡を持っているとする。


今夜、空を見上げる貴方の姿は、500年後にようやく彼らの網膜に到達する。(まあ、彼らが網膜を持つ生命体かどうかはわからないが)僕らにとってベテルギウスがまだ存在しているように、彼らにとっても、僕らは存在しているのである。500年後に。

ちなみに地球の西暦2022年の現時点では、彼らはまだ織田信長の時代を目の当たりにしているはずです。

ちょっと不思議な話だね。

夜空に向かって。さあ手を振って。500年後の異星人に挨拶しましょう。

たとえ地球上のすべての人に忘れられたとしても、何処かから彼らが見てくれているはずです。

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