見出し画像

アドベンチャーワールドのマスク事情リポート~ガイドライン至上主義の日本はどこへ向かう~(2023年2月12日時点)

 良浜、桜浜、桃浜が2月22日に中国へ旅立ってしまうということで2月12日、会いに行ってきた。
 私はアドベンチャーワールドが大好きで、コロナ禍初期に閉園になったときは動物たちの飼育状況が変化しないだろうかと非常に胸を痛めた。再開してからは2021年~2022年にかけて3回は行った。
 前回は昨年4月。マスク社会のバカバカしさに嫌気がさしていたが、まだこの頃は、施設では仕方ないという気持ちも残っていた。
 コロナ禍におけるマスク強要は、アドベンチャーワールドも同じだ。公式サイトには

「遊園地・テーマパークに おける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に準拠した感染予防対策の上で、パーク運営を行っています。
とある。

 そう。この国のマスクハラスメントは、すべて「ガイドライン」が元凶なのだ。
 しかし、もはや2023年。1月末には5類引き下げの方向性が明示され、さらに「3月13日から」「マスク着用ルール」を変更するという全く意味不明な期限を区切ったとはいえ、とにかく、「マスクは個人の判断に委ねる」と言うメッセージが国から発出された。

 一言でいうと、
「いつまでやっとんねん!」
である。

 前日に公式サイトを確認したが、やはり感染対策に関する記載は全く変わっていない。「ガイドライン」がまだ変更されていないのだから仕方ないとでもいうのか?
 
 そして2月12日。もちろんマスク無しで入場ゲートに向かった。
 「マスクのご着用を~」と言う声掛けがあるのか?正直、緊張した。
 
 声掛けは、なかった。
 しかし広大な敷地はマスクで埋め尽くされていた。
 
 園内には随所に人のイラストの間に動物を挟んだ「かわいらしい」イラストでソーシャル・ディスタンスの確保を促す看板。これも前回来た時と全く変わらない。
 
 桃浜、良浜のいるブリーディングセンターに向かう。観覧には行列ができており、係員が順に誘導する。ここは一応屋内であり、それなりに人はいたが、マスク着用を命じられることはなかった。

永明

 そしてイルカたちのマリンライブ。オーシャンドームに入ってもやはり会場はマスクで埋め尽くされている。幼稚園にも上がっていないような子にも平然とマスクをさせる親たちも大量にいる。待機中にスクリーンに映し出される「マスク着用のお願い」の動画も前回と全く同じだった。顎マスクやマスクを目に当てたスタッフの映像にバツ印を表示させたり、ショー終了後は距離を確保しての退場を促すくだりでは、数名のスタッフが団子になって出口に詰めかける様子にバツ印を点けたあと、スタッフ間にイルカのイラストを挟み込み、2mを確保しながらの「正しい」退場の画を流す。本来楽しさの要素など微塵もない感染対策を少しでも楽しく表現したい。子どもや若い人がたくさん訪れる園だからこそ、当時は苦肉の策の動画だったことも窺える。
 
 しかしこの動画を観て「そうか!感染対策しなきゃ!」と思う人が未だにいるのだろうか?「いつまでやっとんねん!」と思う人は私だけではないはずだ。
 
 やがて手を振り登場したトレーナーたちは、なんとウエットスーツにマスク着用と言う異様な姿であった。
 愕然とした。
 まさか水に飛び込むときもマスクのままなのか?心臓がざわざわし始めた。
 さすがにそれは違った。ショーが本格的に始まると、スタッフはマスク無しの笑顔で観客に手を振り、イルカたちに指示を出し、何度も見た人とイルカの共演が繰り広げられる。
 
 ショーを終え、ぶらぶら園内を歩き、そういえば観覧車に乗ったことがなかったので、どうしようかと近づいてみた。
 「マスク着用」の大きなイラストを張り付けた看板。「密室」であることを理由に着用を命じられるのがイヤで、Uターンした。
 肉食獣のサファリゾーンを回れる大きなサファリ号は、前後の座席を仕切るビニールカーテンは撤去されていたが、やはりマスク着用を命じられることに耐えられないので、乗るのを止めた。
 
 結局、滞在していた約5時間で一度もマスク着用を命じられることはなかった。
 しかし最後に異変は起きた。

 帰る前に入ったエントランスドームのショップにおいて、レジ前に設置された電光掲示板には「マスク未着用の方のお会計をお断りすることがあります」の表示。
 
 また、あの感じが自分を覆う。ANAでCAからマスクについて執拗に絡まれたときやうめだ阪急で店員からダイレクトに「マスクのご着用を~」と命じられたときの、地面が波打つような、時空が歪むような、心臓を鷲掴みにされたような感覚。
 前回の投稿に書いた、「魂への暴力的な侵入」を感じた瞬間だ。
 3年間にわたり、マスクをしない事での人権侵害を重ねて受けて来た私にとって、このような電光掲示板の文字さえも充分に暴力的であった。
 
 ざわざわした感覚を抱えながら、園を後にした。
 
 繰り返すが、私はアドベンチャーワールドが大好きだった。
 良浜、桃浜に会えてよかった。
 間近でイルカたちに会えてよかった。
 しかし。
 
 結局運営者は、「ガイドライン」しか見ていない。

 今の感染状況、世界の状況、そして一律マスク強要が感染対策において何の意味があるのかと言う根本的な問題について、彼らはこの3年間、一度も考察していないのだろう。
 実情がどうあろうと、「ガイドライン」が変更されない限り方針を1ミリも変えようとしない事業者。
 
 東京ディズニーランドやUSJが異常なマスクハラスメントを続けていることはSNSでも伝え聞いていたが、アドベンチャーワールドでも、そうだった。
 
 ガイドラインは所詮、ガイドラインでしかない。
 だがこの3年間、全ての事業者はガイドラインを振りかざし、その意味を考察する義務を怠り、人権侵害を続けて来た。
 
 結局、日本が行っている「感染対策」とは何なのか。
 お上の言うことに盲従する国民。
 お上の発出するガイドラインを唯一絶対神として崇め、その正当性を考察せず、状況の変化を顧みず、結果を検証することもなく、ガイドライン「だけ」を拡大解釈してマスクを強要する各業界団体と事業者。
 各種事業者がマスクに関してどれほど異常な人権侵害を行っていても、完全に放置・容認し続けた国。
 そしてさらに国民は互いを苦しめ合う。
 
 「たかがマスク」ではない。
 大好きだったアドベンチャーワールド。
 次に訪れる日は、まだ決められない。

~おわり~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?