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「義務です。同意しますか?」って、日本語おかしくないか?~マイナ保険証のためのオンライン資格確認設置義務の裏側~

今回のテーマは、マイナ保険証を利用できるために医療機関が設置する「オンライン資格確認」システムについて。

問題ばかり出ているようなマイナ保険証であるが、令和5年4月1日から、医療機関において来院患者が利用できるシステムの設置は既に義務付けられている。

現在、メディアで取り上げられているマイナ保険証の問題点は、多くの場合、利用者(患者)側に生じる不利益についてであるようにみえる。
だが、患者側だけではない。
医療機関側も「義務付けられている」このシステムを作る為に多大な負担を強いられている現状を書く。

3月31日まではシステム設置に関する「補助金」が支給され、医療機関側の負担は実質10万円程度であったようだ。
だが、4月1日以降開設する医療機関においては補助金は一切ない。

私は現在クリニック開設準備中であるが、当然このシステムも作らなければならない。拒否権はない。拒否したら、医療機関が保健診療を行う際に必須の「医療機関コード」を剥奪されかねず、医療機関として営業できなくなるのだ。

まず、上に記した費用。既に「補助金」はないので、全額、医療機関側が身銭を切って作らなければならない。
その話を以前、ニコニコ動画で解説している。

次に、設置に係る手間の問題と、もっと根源的な問題、国の驕りとしか思えないような点について触れたい。

システムの構築までを簡単に説明すると、医療機関を新規に開設しようとする場合、まず、地域の保健所に「開設届」を提出する。その後、保険診療を行うため、管轄の厚生局に届けを出す。保健所と厚生局の違いについては、ここでは省略する。
ここで、保険診療を行うことを認める「医療機関コード」が発行される。だがこのコードはすぐには発行されない。具体的には、開業直前である。

 一方、義務とされている「オンライン資格確認」の設置は事前に準備しなければならない。そして手続きには上記の「医療機関コード」が必要である。
そう、全然間に合わないのだ。このため、「仮番号」というようなものを発行してもらわなければならない。発行してください、とお願いして発行してもらわなければならないのだ。
 これ自体も普通に考えておかしいと、思う。義務を果たすために、こちらからお願いして仮番号を出してもらう?どういうこと?

 次は、この仮番号が出たら、オンライン資格確認のポータルサイトにアカウントを作成し、利用開始申請を行わなければならない。私の場合、まずアカウントは作成できた。
 その次は利用申請を行わなければならない。
そして、利用申請画面に行くと、「同意」の有無を聞くボタンがあるのだ。

 同意???

このシステムは、義務だ。そして、アカウントの作成や利用申請業者も、こちら側で選べるわけでなく、決まったサイトで申請しなければならい。
 なのに、「同意しますか?」と聞いてくる

 
 拒否権を与えられずに「同意しますか?」と聞かれたらどうだろう?
 
 もはや、国がやっていることは堅気ではない。そう思うのは考え過ぎだろうか?

 そして利用申請画面でさらに質問に答えていくと、壁にぶち当たる。
「NTTの回線種別」の項目があるのだ。
 クリニックを新規に開設するわけだから、当然回線も新設である。工事は終わっていて、NTTからもろもろ書いたお知らせの紙も手元にある。
 が、どこを見ても、「回線種別」の記載が見当たらない。
ISDNだかVPN、その他4種類以上から選択しなければならない。結局NTTのホームページ等、検索を重ねて回線種別が分かったが、かなりの時間を要した。
さらに、インターネットの接続方法(?)についてv4かv6かを聞いてくる。これは業者や詳しい人ならすぐにわかるのかもしれないが、私には解らない。
 これも結局、ネット上で検索して確認する必要があった。

 これが国のやり方だ。
 利用申し込みひとつとっても、「義務ですが同意しますか?」という堅気とは思えない質問を投げてくる。そして煩雑でスムーズにいかない登録を行わせる。

 繰り返すが、これは義務だ。
 国が義務付けているなら、申し込みから回線の開通までトータルにサポートするのが筋ではないのか。

 だが、国はこういうやり方を平気で押し付けてきた。
 これは、医療機関のだけの話にとどまらないだろうと、個人的に、思う。今後、各業種において、

義務です。費用はそっち持ちです。手間も時間もそっち持ちです。

と言うマイナンバー絡みの手続を押し付けてくる。その可能性は十分にあると考えている。

 なので、これを読まれた方、「私は医療機関なんか経営していないし、関係なさそうだ」
と思わない方が、いいような気がする。

実際にこのシステムの設置に携わる人は病院の中でもシステム部門の人だったり既にできている外注業者だったりするので、この問題はあまり広く知られていないのではないかと思い、今、国がこういうことを国民に押し付けている現状をお知らせした。

ニコ動も併せてご覧ください。

~おわり~

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