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精神科医のお仕事の話~精神科医って優しいんじゃないの?~

 実はあまり知られていない精神科医の仕事について書こうと思う。一般的には、精神科医は『優しく話を聞いてくれる人』と言うイメージがあるかもしれないが、実際にはそうとも限らないのだ。これは、精神科医が優しくないとか怖いとかと言うということではない。

 端的に言うと、体育会系の精神科医は少なくない。

 ちなみに、日本には医師免許を持った人は34万人くらいいるらしい。そのうち精神科医を名乗る人は1万6千人くらいらしいので当然全部に当てはまるものではない。なのでここに書くことは『※個人の感想です。』の範疇を超えない。

 だが、それでも『体育会系精神科医』は非常に多いと確信している。私もその一人だと思っている。精神科医は、当然に医師であり、心理士やカウンセラーではない(彼らとは密接な協力関係にあることは言うまでもない)。医師である以上、最大のミッションは患者の治療なのだ。

 そして、病院勤務の精神科医の場合、統合失調症や躁うつ病、最近では認知症の周辺症状など、『優しく話を聞く』など言っていられない病気を治療の対象としている。もちろんそこで対話は非常に重要である。当たり前の話だ。その上で、目の前の患者に対してどのような治療を組み立て、実践するかを常に考え実践するのが医師の仕事なのだと思ってやっている。

 さらには、精神科の特徴として、患者は日常生活が送れていないことが多く、『朝はちゃんと起きましょう』『運動しましょう』『タバコは止めましょう』『食事はバランスよく』といった学校の先生のような生活指導も行わなければならない。
 ニコニコ優しく笑っている場合ではないのだ。
 かと言って怒っているわけでもない。治療が上手くいき社会生活に戻れた場合にはスタッフも患者も大いに喜び合う。出来なかったらどうしたらいいかを一緒に考える。
 その繰り返し。

 薬物療法を行う際にはその薬がどのように作用し、どのように排泄されるかを考えなければならない。
 精神科の病気だと思っていたら脳の病気であったということもあるので、神経内科医や脳外科医ほどではなくても脳の仕組みやはたらきを知っておかなければならない。
 『うつ病』というが、本人の物事の捉え方が大きく歪んでいる場合は非常に多く、そこに働きかけていくためにはたくさんの言葉の引き出しを持っていなければならない。

 他の科の医師に比べたら確かに時間的なゆとりはあるかもしれない。だが患者と取っ組み合いになったり乱闘になったりすることもある。
 身体を張ることもあるのだ。

 医師であるからには科学的に考えなければならない。といっても、血液検査などの数値で分からないことの多い世界ではある。曖昧なことも多い。それでも科学の目を持ち治療を考える。

 精神科医は、今日もいけいけどんどん、なのだ。

🌟おわり🌟

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