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この時代について

私の、いや私たちの時代はどこか人目に触れたくないような
果てしない虚無感に苛まれるものだった。他者と関係を築くことで
自己の空腹に気付くような居た堪れない不信感が充満していた。
其れに気付くものはほとんど皆無で、娯楽や快楽を享受するばかりであった。経済活動の後遺症と言えば安いものだが、付ける薬はあったのだろうか。
明治のような気品はなく、大正のようなモダンディズムはなく、
昭和のような士気はなく、私たちは虚な眼差しで経済活動をしていたばかりだった。
文化は薄ら笑いのような奇妙さしか継がれておらず、主流は見えぬまま。その文化を誇示する文化人たち、今に見てろ。全てを元に戻すだけだから。
此の時代が私の人生に影響を与えないわけがあるまい。


                    ————平成31年4月30日 九段下にて

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