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夏裏の素描


陽光と夕方に
焚きつける焦燥の風
湿度が枯れる間に起きた
其の出来事

いつもより少し下から見る向日葵

翳はいつも
有象無象だった
散らばり、固められ、又溶かされ
彷徨いは運命を秘めて、その辺で朽ちる
くだらないことはなしだ、と
昨日のように満たされることは
永劫無いように思えるが
若さが其れを求める

辺り、周りいずれかは
地面か、
あの娘の嗚咽か、
種子の破片は残虐か
後ろはかつて、何方かいた様な
云うことは観ることを
捨てた行為の代償

頭と呼んでいる
花弁は揺らぐ
どうしようもない不動ものは、清廉の気品はちっとも
腰砕けた表現なら、飾り気無い動たる音
見ては「つまらない」経てば「雄大な美醜を感ずる」
散り吹き風、うだる灼熱、どこかで見たことある入道雲

「そうか、これが季節の中で生きるということか」

その縦長の緑は
生命を突き破り陽を支える
場で燃えゆくのか、時で冷めるのか
知ることは何かを失うきっかけだった

参道は煩いから
遠い記憶はいつからか
懐く希望の果てに鳥居は見下ろす

例祭は暑いから
群衆はどこからか来ては
性の実感を揶揄し夜鳴を喜ばす

「あの凛々しさを帯びた肉感は、さぞかし堕ちる美だろうに」

狂い始めた宴は
訪れの意味を快楽に
見出すほど
物知らずだった

囃子が聞こえ
潜める肉体、走るうごめく汗
終らない戦慄に興奮
夜明けの越境を
壊すほどだった

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