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『コンビニ人間』を読んで感じたこと

※本記事はネタバレ要素を多少含むため、ご了承ください。

自分を拘束する「嘘」

「嘘をついてはいけない」と子供の頃からよく言われてきた。
半分正解で半分間違いだと思う。
個人的には嘘には「ついていい嘘」と「ついてはいけない嘘」があると考えている。

ついてはいけない嘘は2種類ある

  • 他人に害を与える嘘

  • 自分を拘束する嘘

コンビニ人間の主人公である恵子は「自分を拘束する嘘」をつき続けることによって苦しんでいたのだと思う。

なぜ嘘をつき続けなければいけなかったのか。
それは、幼い頃から自分を理解してくれる人物がいなかったからではないだろうか。

誰も理解をしてくれないとわかっているのであれば、無意識に嘘をつく。
子どもは大人が思っている以上に賢い生き物なのだろう。

親の使命

僕にはまだ子どもがいない。できる予定もない。
そんな僕が親について書くなんて自分でもどうかしていると思うが、感じたことを素直に書こうと思う。

恵子の行動は確かに常軌を逸していると言えるだろう。
周囲からすれば「社会不適合者」というレッテルを貼られるような言動だ。

それでも、親は子どもにとって1番の見方であるべきだ。
もし、恵子の母親がカウンセリングに頼らず、恵子の話をしっかりと聞いて理解しようとする姿勢を向けていたらどうなっていただろうか。

恵子は理解者がいないがために嘘をつくしかなかった。
そして子どもの頃についた一種の虚言癖のようなものは、大人になってからも拭うことはできなかったのではないだろうか。

世界を見渡せば約70億人もの人物がいる。
自分の考えを理解してくれる人なんていないわけがない。
それを教えるのが親の使命の一つなのかもしれないと感じた。

『コンビニ人間』から読み取ったメッセージ

いつしか恵子には、コンビニの声が聞こえるようになった。
それは18年もの間、真面目にコンビニバイトに取り組んできたからだろう。
コンビニの声が聞こえるという職業病に陥った恵子は、紛れもなくコンビニ店員のプロだと言える。

なぜ、周囲から非難されるのだろうか?
処女だからなのか?アルバイトだからなのか?
恵子の周囲の人々は、結婚するか職に就くかが幸せだとでも思っているのだろうか?
この考えは極めて時代遅れだ。

人によって幸せの価値観は違う。
このことを理解しているようで理解できていない人が多い。
この小説にはそんなメッセージが込められているのではないか。

知らぬ間に自分の幸せの価値観を他人に押し付けていないだろうか?
今一度、自分の心に問う必要がある気がした。

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