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恋人とすれ違う理由
どんなに気が合う人であっても、長年付き添った仲だとしても、育った環境も違えば立場も違うし、笑いのツボも違えば好きな食べ物も違うわけで、人間って本当に知れば知るほど自分とは異なる全くの他人なんですよ。
精神的にまだ未成熟だと、どうしても恋人と自分を同一視してしまい、少しでも自分と異なる部分があると「異なる」というだけで許せなくなってしまいがちなのですが、似ているところはあっても同じところなんてひとつもない全くの別人であって、違って当たり前、すれ違いがあって当たり前なんですよね。
「愛し合うということは、話し合うことと同義だよ」と常々言っているのですが、なんのための話し合いかといえば、二人を同一化するための話し合いではなく、異なるところを許し合うための話し合いなんです。
その人にはその人の人生があって、自分には自分の人生があって、異なる二つの人生がほんのちょっとだけ交わっているだけであって、二人の人生がひとつに融合されるなんて錯覚でしかないんですよ。
仲の良い関係にはすれ違いがないわけではなく、むしろすれ違いなんて日常茶飯事で、息をするようにそれを許し合っているだけ。
ハナから違う生き物だと認識しているから、些細なすれ違いにめくじらを立てて怒ったり、別れ話に発展したりすることもないということです。
「これだけは絶対に許せない」という人として最低限の道徳的な価値観が共有できていればそれ以上は何も求めない、それを踏まえた上で好きかどうかの問題であって、「価値観が合わなければ許せない」ということは、元々その人のことはそれほど好きではなかったのかもしれない、もしくは自分が精神的に未成熟だったのかもしれないということですね。
よく「長続きの秘訣」を聞かれるのですが、その度に「一緒にならないこと」と答えています。
「私は私、あなたはあなた」という境界線を守っていれば、お互いの些細なすれ違いには寛容になれるはずです。
どうでもいいことをどうでもいいと許し合える関係こそが生涯を共に生きていける関係なのかもしれませんね。
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