Ryuji Fujimura

建築家/東京藝術大学美術学部建築科准教授・RFA主宰/アーバンデザインセンター大宮(U…

Ryuji Fujimura

建築家/東京藝術大学美術学部建築科准教授・RFA主宰/アーバンデザインセンター大宮(UDCO)副センター長/鳩山町コミュニティマルシェ総合ディレクター

最近の記事

アトリエへの就職と人生設計について

これからアトリエ志向の建築学生の皆さんは就職活動を開始するタイミングであろう。募集する側の設計事務所の主宰者としては「インスタレーションからまちづくりまで!いろいろな仕事があります!」とアピールしたくなるのだが、応募する側の学生は実はそんなことよりも「自分の人生設計をどうサポートしてくれるのか」のほうにより興味があるのではないかと思われる。 自分も設計事務所を20年ほど主宰してきて、かつ40代も後半になってくると、自らの反省を踏まえ、20代から30代にかけてどのように過ごす

    • synactive2023

      10年に一度集まり、互いの仕事を問い直す 今から20年前、松川昌平さんが主宰した2003年末に開設され、2008年まで続いた「synctokyo」というシェアオフィスをつくるプロジェクトに参加させて頂いた。その時出会った田畠隆志・田中浩也・田中元子+大西正紀・脇田玲・松川昌平・漢那潤・藤村龍至の7組8名で「synactive(シナクティブ)」というイベントを開催した。 synactiveはいわゆる忘年会で、年末にそれぞれの仕事を発表し、互いにレビューし合うイベントであった

      • 卒業設計イベントの曲がり角

        卒業設計講評会の種類 今年は本務校の藝大以外に大阪芸大、滋賀県立大、千葉大、DiplomaKYOTOにお招き頂き、講評会に登壇させて頂いた。残るは3/15の中部卒業設計展NAFに登壇予定である。本務校以外で5回も登壇するのは例年に比べるとやや多いほうであるが、2000年代終わりからかれこれ15年ほど毎年3-5回のイベントに登壇し続けたので場数はこなしてきた方なのではないかと思う。 卒業設計の講評会にはいくつか種類がある。 a. 大学単位で行われ、学内の専任の先生を中心に賞

        • 藤村の経歴・受賞歴をまとめ直す

          建築家として活動し、活動の成果は都度発信していても「何をやっているのか」の総体は把握しにくいもの。よく知っているはずの同世代のことをみていてもそう思うので、まずは経歴・受賞歴をまとめ直してみました。 藤村龍至 Ryuji Fujimura 建築家 / 東京藝術大学准教授 RFA主宰 1976年東京生まれ。2002年東京工業大学大学院修士課程修了。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2010年より東洋大学専任講師。2016年より東京藝術大学准教授。 200

        アトリエへの就職と人生設計について

          レム・コールハースのレクチャー

          2015年と2018年にロンドンと東京でレム・コールハースのレクチャーを聴いた時のメモを再構成。 2015年3月11日@ロンドン AAスクールにてコールハースのレクチャーを拝聴。チケットは売り切れていたためダメもとで駆けつけると既に長蛇の列。なんとか中継会場で座って聴くことができた。 コールハースのレクチャーは3回目だったが、いずれも日本で聴いたものだったので久しぶりにヨーロッパで建築家のレクチャーを聴いた気がする。 レクチャーのタイトルは「Venice and Af

          レム・コールハースのレクチャー

          レム・コールハースとのトーク

          2015年5月19日、太田佳代子さんにお声がけ頂き、レム・コールハースとのトークイベントに南後由和さんとともに登壇させて頂いた。90年代の建築学生はみんな持っていた巨大な書籍『S, M, L, XL』のテキストのみを抜粋した日本語版『S, M, L, XL+』の発売記念であった。FBでの記録をこちらで再掲載。 レム・コールハースといえばドタキャンもよく聞くので(実際1998年7月18日 安藤忠雄さんが東京大学に招いた際もコールハースは来なかったし、私と南後さんが参加していた

          レム・コールハースとのトーク

          藤村龍至インタビュー・座談会まとめ2008-2015

          ネットで発表され公開されている私へのインタビュー記事で、テキストで読めるものを集めてみました。 2008 ネットにインタビューが載り始めたのは2008年頃(31歳)でした。2007年3月にプリズミック・ギャラリーで個展を開催し、フリーペーパー『ROUNDABOUT JOURNAL』を配布する活動を始め、2008年7月号で「BUILDING K」が『新建築』で表紙になった頃でした。 2009 2009年2月に若手建築家32組へのインタビュー集『1995年以後』を発表、5月に

          藤村龍至インタビュー・座談会まとめ2008-2015

          都市住宅の終わり/地球住宅の始まり

           2022年、『新建築住宅特集』の座談月評の評者にご指名頂き、貝島桃代さん、中山英之さんとともに2022年1月から12月までの1年間、毎月発行される最新号に発表される住宅作品15-20作品程度を対象に月に1度同じメンバーで継続的に議論をする機会に恵まれた。  私は近年「家の家」(本誌1304)以来10年ほど個人住宅を設計していないこともあり、最近の住宅作品の多様性を興味深く追う一方、1990年代後半の「小ささ」のような共通のテーマや新しい世代によるシーンの盛り上がりなどがあま

          都市住宅の終わり/地球住宅の始まり

          藤村龍至インタビュー・座談会まとめ2016-2022

          2016年から2022年までです。40歳を過ぎ若手枠を卒業した感もあり、作品や理論についてインタビューされるというよりは東京オリパラやコロナ禍を経て建築界や東京、日本社会全体を状況を俯瞰して整理する役割が多くりました。 2016 2016年に東京藝大准教授に着任したことで藝大の近況や教育感などについて聴いて頂きました(40歳)。 2017 さいたま市の大宮駅前でおもてなし公共施設「OM TERRACE」が竣工したこと、一般社団法人アーバンデザイン大宮UDCOの活動「OMI

          藤村龍至インタビュー・座談会まとめ2016-2022

          2022振り返りなど

          2022年の活動を振り返ると、4年ごとの書籍も出せず、仕込みの時期で大きなことは成し遂げられなかったかな、などと思っていましたが、書き出してみると、大小様々な達成がありました。 1月 ・『新建築住宅特集』にて貝島桃代さん、中山英之さんと座談月評の連載がスタート ・西沢立衛さんを迎えて映画「TOKYO2021」上映会 ・所沢市にてフォーラム「所沢駅周辺グランドデザインの方向性」に登壇 ・嶋田洋平さんの映画「(仮)建築をあきらめる」の座談会収録に参加。2015年の嶋田さんとの対

          2022振り返りなど

          磯崎さんからの学び(後編)

          (承前) 2018年の年末、1通のメールが届きました。 そこには以下のように記されていました。来年2019年9月に大分市美術館で磯崎新の展覧会が企画されていること、建築の仕事はアートプラザで常設の形で紹介されているが、今回は磯崎の建築外の仕事を中心に紹介することになったこと、私には建築のキュレーションの部分を担当をお願いしたいこと、全体を統合する建築デザインが専門のキュレーターAric Chenが沖縄に打ち合わせに来るので同席されたいこと。 メールには磯崎さんのメモが添付

          磯崎さんからの学び(後編)

          磯崎新さんからの学び(前編)

          2022年12月28日に磯崎新さんがご逝去されました。にわかに信じがたいですが、心よりご冥福をお祈り致します。初めてお会いしたのが2009年。最後にお会いしたのは2019年なので10年間接点を持たせていただいたことになります。どのように接点を持たせて頂いたか振り返るうち、せっかくなので私的備忘録としてまとめてみることにしました。 2009 磯崎さんとの出会い?は2009年1月28日に東浩紀さんが企画され東工大で行われた「アーキテクチャと思考の場所」というシンポジウムでした。

          磯崎新さんからの学び(前編)

          書評を書く/書いていただく

          書評なるものを初めて書かせて頂いたのが2011年で10年と少しだったのでこれまでを振り返ってみる。最初は山崎亮さんの『コミュニティデザイン』の書評であった。 山崎亮『コミュニティデザイン』書評 2011-05-01刊行 若さに任せてやや遠慮のない書き方になってしまっているかもしれないが、山崎さんの活動に共感するからこそ、感じたことは書かなくてはと駆り立てられるようにして書かせて頂いた。メールしたら担当の井口さんに「ザ・書評という感じですね」と言われ、そうかと思ったことを思

          書評を書く/書いていただく

          How will we learn together?

          我々はいかに「ともに学ぶ」か。建築や都市に関心を寄せる7大学8研究室のメンバーが互いの関心を4/15から24まで藝大陳列館で展示します。さらに期間中に8回の合同ゼミを行うことで学びを深め、それぞれの学びを言葉にして統合する試みを通じて「ともになす学び」を可視化します。 展覧会は各研究室の「学び」を視覚的に展示する「マテリアル」と、そこから「学んだこと」を言葉として抽出した「アーカイブ」からなるラーニング・プロジェクトとして構成されます。乞うご期待!  #GDZ2021 展

          How will we learn together?

          大都市郊外に杜をつくる

          岐阜県各務原市の特定医療法人・福祉法人フェニックスが手がけるゴザーレプロジェクトの植樹イベントが行われました。各務原は歴史ある土地ですが名古屋市郊外の住宅地として発展してきた経緯があり、ゴザーレ・プロジェクトは団塊世代が後期高齢者となる2025年をにらみ、地域共生社会を実現するための「ひととひとがつながり、支え合うまちをつくる」というプロジェクトとして、2年ほど前にスタートしました。当初はイベント広場のようなものがイメージされていたのですが、話し合いを続けていくうちに「杜」を

          大都市郊外に杜をつくる

          2021振り返り

          2021年の活動を振り返り、2022年の活動を展望してみたいと思います。 ・RFAでの建築作品は竣工も雑誌上での発表も少なかったのですが、3月にRFAとしては初めての本格的な官庁発注の公共施設(災害対策本部庁舎)の実施設計を単独でやり遂げることができました。着工は2022年春を予定しております。 ・そのほかにも幸運な出会いに恵まれ、超高齢化社会を迎える2025年からの10年につながるプロジェクトが同時進行しているので手応えを感じております。クライアントとともにひとつひとつの

          2021振り返り