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漠然とした不安に負けない身体の手に入れ方について【その6 正座の効用について】

正座という座り方がありますが、なんであんなに足が痺れる座り方を「正しい座」と呼ぶのだろうと疑問に思った事はありませんか。

僕の祖母などは、いつも「正座が一番楽だよ」と僕に言っていましたし、事実、104歳で亡くなる直前までベッドの上で正座していました。

僕も幼い頃は、椅子の上に正座していました。普通に椅子に座るとテーブルの高さに座高が足りなかったからです。足が痺れたという記憶もあまりありません。僕の子供時代は、日本社会の洋式化が激しく進んだ時期でもあり、大きくなるにつれて正座する機会も少なくなっていきました。

しかし、師匠に師事することとなってからは、稽古中は、ほとんど正座という状況になり、地獄の日々が続いております(笑)

僕が参加している稽古は、1日6時間程度の時間をかけて行います。稽古によっては立ったり、うつ伏せになったり、仰向けになったりといった姿勢をとることはありますが、基本はずっと正座です。30年以上、稽古を続けていますが、流石に足は痺れます。

入門当初は、なんでこんなに辛い目に遭わなければならないのかと、師匠を恨んだこともありました(笑)

しかし、入門後、数ヶ月が過ぎた頃、あることに気づいたのです。

足腰が丈夫になった感じがする

なんだか、自分の重心が下がって、どっしりとしてきたように感じるのです。稽古の中に「動法」と呼ばれる日本古来の動きを行うものがあるのですが、初めは非常に辛く感じた姿勢が、いつの間にか心地よい安定感と敏捷な動きを我が身にもたらしてくれるようになったのです。

なんで、正座で足腰が丈夫になるように感じるんだろうという長年の疑問に答えが出たのは、加圧トレーニングというトレーニング法を試した時でした。

脂肪が燃えやすくなるという宣伝文句に釣られて試してみたのですが、いろいろ勉強になりました(笑)

血流が抑圧され、乳酸が増え(これが痺れの原因)、脳が死ぬほどきつい運動していると誤解して大量に成長ホルモンを出すというメカニズムを知った時に真っ先に頭に浮かんだのが正座のことでした。

しかし、本稿での「正座の効用」は、違う視座から話をしたいと思います。

自分の中に中心感を出す

私の考える正座の最大の効用は、自分の中に中心感を生み出すことだと思います。

正しく正座することで、中心感が生まれるのですが、この中心感のことを古人は丹田と呼んできました。

丹田は自分の中の中心感覚のこと

丹田が意識できるようになると、自分の中の重心が下がり、落ち着いてきます。そして中心感が生まれると直立感も同時に発生してきます。

正座がきちんとできていると、あらゆる動きを瞬時に起こすことができるようになります。

手の反動を使わず、丹田の感覚で体幹を操作すると、真上に飛び上がることもできます。

自分の中に中心感が生まれれば、直立感を保ったまま、さまざまな動きを発動させることができるようなるのです。

正座は自己肯定感の質を上げる基本中の基本となる姿勢です。

しかし、現代の日本社会は床の上に座る機会は、ほとんど消えてしまっています。床の生活から、椅子と机の生活に移行してしまったからです。

というわけで、次回は、椅座(椅子の座り方)における正座の稽古法についてお話しさせていただきたいと思います。


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