漠然とした不安に負けない身体の手に入れ方について 【その1 導入編】
コロナメンタルが増えている
最近、コロナ騒動でメンタルが疲弊している人たちから多くの相談が寄せられるようになっています。
メンタルって心の問題と捉えている人も多いと思いますが、僕から言わせてもらえばメンタルの問題を抱えている人って身体の使い方に問題がある人が多いです。
心は煙のようなものです。
ふらふらと風に揺られてどこにでも行ってしまう。
その煙(心)を煙(心)で制御しようとしても無理があると思うのです。
煙を制御したければ「煙突」を作ったり、煙の元である火を管理したりしないといけないのではないでしょうか?
この場合の煙突は身体で、火は生命そのものと思ってください。
僕自身、20代の頃、強度の鬱症状に悩まされました。
きっかけは身体の不調だったのですが、それがだんだん悪化するとともに、心の調子も大きく崩していってしまったのです。
そして26歳の時に、このままだったら死を待つだけというところまで衰弱してしまいました。大きな病院をいくつか受診しましたが、どこにいっても原因不明という結果しか出ず、なすすべがありませんでした。
野口整体との出会いで解消した数々の不調
そんな時に出会ったのが整体協会 身体教育研究所所長の野口裕之先生でした。
それから30年、弟子として末席を穢しながら、自分なりに生きる道を切り拓いてきました。
稽古で培った感覚は、仕事、子育て、体調管理、人間関係等、人生に起こってくる全てのものに応用が利きます。
今回のコロナ騒動で不安に駆られ、メンタルに不調をきたしている人たちも多いと思いますが、体の使い方をきちんと整えることで無駄な不安からは解放されます。
これから数回にわたって、不安に負けない身体の使い方について書いてきたいと思います。
本稿で伝えたいこと
しかし、本稿は野口整体の稽古法を伝えることを目的としているわけではありません。僕の師匠の稽古法を文字や動画等を使って伝えることは無理だと思います。もし学びたければ稽古場に来て実際に稽古を積むしかありません。
じゃあ一体何を伝えるのかというと、野口整体の稽古を積むことで「不安にならない身体」を手に入れた僕が実践している、「これなら分かりやすいし、すぐに効果めいたものを実感できる、と思える東西の稽古法(野口整体のものではないけど関連はする)について」ということになります。
まあ、あくまでも「個人の感想」ではあるので、それを踏まえて読んでいただければ幸いです。
二種類の不安
今回は、第1段として「不安ってそもそも何だろう」ということを考えてみたいと思います。
僕は長年の稽古のおかげで、不安にならない身体を手に入れることができました。ここでいう不安というのは、漠然とした不安のことです。
僕は不安には大きく分けて、「原因のはっきりした不安」と「何となく抱く不安」の2種類があると考えています。
当然、僕も原因のはっきりした不安を持つことはあります。しかし、それにいちいち感情的に反応したりすることはありません。
原因のある不安には対処法が存在するからです。
例えば、借金が返せるか不安だということには、原因も対処法も存在します。最悪夜逃げすることだってできます。
今回僕が対象にするのは、朝起きたら、何となく不安。気分が冴えない。明るい気持ちになれない。物事をマイナスに考えてしまう、といった「漠然とした不安です」。
野口整体を始める前の僕は、まさにこういう状態でした。
繰り返しになりますが、今の僕は、漠然とした不安や落ち込みに悩まされることは一切ありません。
漠然とした不安は直立感を鍛えることで解消する
物凄く簡単に結論だけ言うと「直立感を鍛えると漠然とした不安に悩まされることはなくなる」ということになります。
いきなり「直立」とか言われても何のことだかわからないと思うので、少し僕の考えを述べさせてもらいます。
野口整体の一番の根本に「全生」という思想があります。
全生とは読んで字の如し、生命全体を使って生きるということなのですが、30年前の入門当時にはよく掴めない概念でした。
生命全部で生きろと言われても…当時は分かったふりして稽古していました(笑)
直立感を育てるというのは「寄りかからない身体」を育てるのと同義です。
僕の理解では、人間は直立二足歩行に移行して以来、大きな脳を手に入れることができたけど、その代わりに他の動物のように全身を使って生きるということが出来にくい身体になってしまった。 闘うにしても逃げるにしても、他の動物たちが何億年もかけて身につけた「身体力」を十全に発揮することが出来ない。
時々、YouTube等で軍事用にもなるロボットの動画が挙げられたりしていますが、四足歩行のロボットがいろいろな障害をものともせず、転んでもすぐに立ち上がり動き回る姿には恐怖を感じますよね。
リンクを貼った動画では二足歩行のロボットも登場して、さらに不気味ですが、二足歩行のロボットを作るのは難しいしコストもかかるらしいのです。人間にとって二足歩行のメリットってエネルギー消費が四足歩行より少ないのと脳が大きくなることらしいので、軍事用としては四足歩行のロボットの方が合理的なのでしょう。
そもそも人間が直立二足歩行に移行してから、たった数百万年しか経っていないということもあり、後天的な学習抜きでは「全生」できない身体自体が「漠然とした不安」を生み、我々人類の潜在感覚の中に深く刻まれることになってしまったのだと思います。
まあ、元々自己肯定感が低くプログラミングされているとでもいうのでしょうかね。
この漠然とした不安感は、身体を一つにして動く手法の確立を促し、試行錯誤を繰り返しながら「身体文化」として各民族に引き継がれてきたのです。
身体を一つにして使うということは全生の基本中の基本でもあります。
それは「寄りかからない身体」を育てるというということでもあるのですが、長くなったので今回はこの辺にして、次回につなげていきたいと思います。
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