人間って汚いな
国だか都だかの少子化対策のための予算を若者の数で頭割りにすると、単純計算で1人あたり数百万円になるらしい。それなら変な事業に金を使うよりも子供を産む親にポンと直接数百万円あげた方がよっぽど少子化対策になるだろ……という意見を見た。パッと見真っ当な意見に思えるが、実際にこんな制度が成立することはない。悪用する人がいるからだ。
国からの数百万円のためだけに子供を産む親、産ませる輩。数百万円を自分のものにして、或いは巻き上げて、残った子供のことなんか知ったこっちゃない。そういう恐ろしい人間が実在するのだ。直接お金が渡る制度も必要だが、そのためには悪用させない金額、方法を見極めねばならない。政治というのは大変なものだなぁと思う。更に恐ろしいのが、「ポンと直接数百万円あげた方がいいだろ」と声を上げている人こそが、実際に悪用しようと目論んでいる側だったりすることだ。そして色々と配慮して作ったシステムの合間合間にも、利権のことだけを考えて甘い汁を吸おうとしている人がいるということだ。本当に人間は汚いなぁと思う。
なんでこんな法律があるんだ、なんでこんなまどろっこしい制度があるんだ、なんでこんな面倒臭い手続きが必要なんだ、なんでわざわざ仕組みを変える必要があるんだ……そういうことの多くは、善良な一般市民が想像も出来ないような悪意を避けるために仕方なく出来た仕組みだったりする。世界は悪意で出来ている。訳の分からない制度に、訳が分からないぞ!と叫ぶ前に、どうしてこんなに訳の分からないことになったんだろうと考えて、何かを察してしまう程度には大人になってしまった。そのことを少し寂しく思う。汚れつちまつた悲しみに、というやつなのかもしれない。
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