ユキちゃん失踪事件

小学生の頃、仲の良かった友達のユキちゃんがいなくなった事件があった。ユキちゃんのお母さんから、夜になっても帰って来てないと連絡をもらって私は驚いた。私はその日もユキちゃんと一緒に学校から帰ってきていたからだ。

私の家の前でユキちゃんとは別れて、ユキちゃんはそのまま家に帰ったはずだ。一体どうして……？そこで私はハッと思い出した。その日私たちはゲームをしていた。学校から家まで、道路の白線の上だけを通って帰るというゲームだ。ユキちゃんはもしかしてあのまま白線を辿ってどこかに行ったのかもしれない。私はユキちゃんのお母さんにその話をした。

その日の夜遅く、ユキちゃんは無事に隣町で発見された。見つけたのは私の証言を聞いて白線を辿って探しくれた警察の人だった。私の家の前から少し行った交差点からユキちゃんの家の方向には白線が途切れていた。仕方なく違う方向に白線を辿っているうちに隣町まで来てしまったらしい。

私たちももうすっかり大人になって、ユキちゃんは地元で結婚して2人の娘のお母さんになっている。私は上京してなかなか会えなくはなったけれど、今でも連絡は取り合っている友達だ。あの事件のあと交差点からユキちゃんの家の前まで新しく引き直された白線は、今でも綺麗に残っているのだそうだ。