タコの見分け方

タコには8本の脚があるが、そのうち2本は脚ではなく腕である。その見分け方としてこれまで一般的だったのは、タコの頭をぽかりとひとつ殴って、痛がったタコが頭を押さえる、その2本が腕であるというものだった。

しかし最近、これはタコに対する虐待なのではないかという話になった。確かにそれはそうだ。いくら軟体動物だとは言え、少なくとも頭に手をやる程度には痛がっているわけだ。有識者たちの間でこれに代わる方法が検討された。

タコの腕の見分け方として近年一般的なのは、「タコさん、素敵なお帽子ですね」と声を掛けるというものだ。え？帽子？帽子なんて被ってないけどな？と頭に手をやる……その2本が腕であるとするものだ。他にも、大きな声で「バンザーイ！！」と言ってバンザイを始め、ノッてくれたタコが挙げた2本が腕だというもの、「うぇーい！！」とハイタッチを求め、タコが応じてくれたらその2本が腕だというもの、タコにバスケットボールをパスして、受け取った2本が腕だというもの、様々な見分け方がある。

目の前でたこ焼きを食べて見せて、タコが「マンマミーア！」と頭に手をやる、その2本が腕であるとする見分け方もあるが、それは頭を叩くよりも酷いのではないかと言われて定着しなかったようだ。