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雷雨の夜のエトセトラ

昨日の夜は酷い雷雨だった。ひっきりなしに響く雷の音と激しい雨音に眉をしかめながら眠った。雷雨に浮かされてここに書くのにちょうどいい悪夢が見られれば良かったのだが、意外と夢も見ずにぐっすりすやすやと眠った。

光の速さと音の速さが違うということを習ったのは小学生の頃だったろうか。稲妻が光ってから雷の音が聞こえるまでの差の秒数で、雷が鳴った場所の距離を計算することが出来る。小学生の頃は雷が光ると、いちにいさんと頭の中で秒数をカウントして距離感を測ろうとしたものだ。あ、音だ!4秒だった!4秒ということは……と計算しようとするうちにまた次の稲妻が光って、大抵稲妻までの距離は計算出来ずじまいになるのだった。秒数かける何で距離を算出出来るのかは覚えていたような気がするが、残念ながらもう忘れてしまった。

ばあちゃんは雷が嫌いだった。「小さい頃な、田んぼで仕事しよる時に雷に打たれた人を見たことがあるんよ」という衝撃のエピソードが理由だった。そりゃ雷を嫌いになるのも仕方ない。雷に打たれた人はどうなったのだろうか。死んでしまったのか、それとも一命を取り留めることが出来たのだろうか。ばあちゃんにその話を聞いたのも随分小さい頃だったと思うが、どうなったのかは怖くて聞けなかった。こんな些細な答え合わせも、ばあちゃんが亡くなってしまった今となっては叶わない。もっと何でも聞いておけばよかったなと思う。

昨夜のような酷い雷雨になるたび、雷は神様の怒りなのだと解釈するのは全く自然なことだなと思う。風神雷神図で有名な雷神もあるが、建御雷神(たけみかづちのかみ)は雷と剣を司る神様で、日本神話の中でも最も力の強い神様のうちの一人だ。北欧神話ではトール、ギリシャ神話では主神ゼウス、インドではインドラ……と、名だたる神が雷を司っている。そもそも神と雷が似たような音なのもおそらくそれが神の御業だからなのだろう。大気中の静電気が云々という理屈は理解してはいるが、人智を超えた存在の仕業なのだと言われた方がまだ納得出来る。

ひっきりなしに響く雷の音と激しい雨音に眉をしかめながら思った、雷に関するあれやこれやでした。

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