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私の正当防衛

私の家に火をつけようとした男を私は殺した。殺さなければ私が、私の家族が殺されるところだったからだ。私は何も悪いことはしていない。私はただ守るべきものを守ろうとしただけだ。

私が殺した男の妹が、敵討ちだと言って襲いかかってきた。私は争っているうちに女の腹を刺してしまった。女は病院に運ばれたが意識不明の重体なのだと言う。殺すつもりはなかった。先に私を殺そうとしたのは女の方だ。私は何も悪いことはしていない。私はただ自分が殺されないようにと身を守っただけだ。

私が腹を刺した女の恋人が私を殺そうとしているという計画を聞いて、私は男の家に火をつけた。そうしなければ私が殺されるところだったからだ。そうしなければ私はずっと、私が殺されるかもしれないという恐怖に苛まれ続けることになっていたからだ。私は私を守った。それだけのことだ。

私が火をつけて燃やした家の跡地には桜の木が植えられたのだという。桜は春になるたびにきれいな花を咲かせるそうだ。私はその桜を見ていない。私が傷つけた人たちがその後どうなったのか、私は知らない。私は私を、私の家族や友人や仲間を傷つける者を決して許さない。私は誰よりも仲間思いで、誰よりも愛情深い人間なのだ。それなのにどうして、私はこんな暗くて狭い牢獄に入れられなければならなかったのだろう。あれからずっと考えているが、どう考えても私には何の非はない。私にこんなにも苦しい思いをさせたあいつらを、私は一生許さない。

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