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大人になるものたち

映画『哀れなるものたち』を観た。映画館で観たかったけど公開終了してしまって、早稲田松竹でのリバイバル上映最終日にギリギリ滑り込んで観てきた。とても良かった。アカデミー賞の主演女優賞を獲得したエマ・ストーンの存在感は特に出色であった。凄いなぁと思って調べてみると、エマ・ストーン、ゾンビコメディの金字塔『ゾンビランド』でヒロインの女の子を演じていた人だった。あの女の子が!なんとまあ立派になって!映画好きを20年もやっているとこういうことがたまにある。

最近だと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンだろう。『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で印象的な役を演じ、『グーニーズ』の男の子として映画ファンの心に強く残りながらも、大人になってからは機会に恵まれず、俳優を引退して制作や助監督、武術指導などの裏方に専念するようになる。そこから数十年越しのカムバック、アカデミー賞助演男優賞である。スピルバーグが見守る中、壇上でハリソン・フォードと抱き合う姿はその年のアカデミー賞授賞式のハイライトだった。

僕の大好きな女優、クリスティーナ・リッチも子役出身である。『恋する人魚たち』でウィノナ・ライダーの妹役でデビューしたのはなんと9歳。その後『アダムス・ファミリー』のウェンズデー役で大ブレイク。成長につれて子役からのイメージ脱却には苦戦するも、コメディからホラーまで幅広く活躍し、『バッファロー66』や『スリーピーホロウ』などでは強烈な印象を残している。

『ピアノレッスン』でわずか11歳でアカデミー賞助演女優賞を授賞したのは、アンナ・パキンちゃんだ。その後も『グース』で渡り鳥と一緒に空を旅する女の子を好演し、『天空の城ラピュタ』の英語吹き替え版ではシータの声もやっているようだ。成長した彼女はなんやかんやあってX-MENシリーズでローグを演じることになる。うぉーい!そっち路線に行くんかい!!と、かつてのアンナ・パキンちゃんに心奪われた身としては複雑な気持ちになったものだ。

子役上がりとは少し違うが、スタンリー・トゥッチという俳優がいる。『プラダを着た悪魔』のスキンヘッド上司の人だよと言えば、映画好きならおおあの人か!と思うだろう。その後2009年の『ラブリーボーン』ではアカデミー賞の助演男優賞にもノミネートされている名バイプレイヤーだ。しかし僕は、あれ?この人どこかで見たことがあるぞと思った。ゾンビ映画の巨匠ジョージ・ロメロ監督の古い怪作B級映画『モンキー・シャイン(1988年)』でお医者さん役だった人なのだ。うわー!立派になって!!気付いた時にはあっと声が出たものだ。

俳優を続けるというのはなかなか困難なものだ。子役時代にヒット作に恵まれたからと言ってそのまま順風満帆なわけでもない。むしろ子役時代のイメージから抜け出せずに苦戦するようなこともある。それでも続けてくれて、大人になった姿を見られるのは嬉しいものだ。子役としてキラキラと輝いていた子が美しい女性や精悍な青年を演じ、更に歳を重ねて大人になって、父や母を演じるようになり、やがて老人となっていく。自分も俳優の端くれとして、そうなっていけたらいいなと思いますね。

そういえばレオナルド・ディカプリオも元々は子役出身。『タイタニック』の超イケメンを経て今やすっかりいいおじさんになって、でっぷりとしたお腹をむしろ武器にして様々な作品で、若い頃にはやれなかったような悪役やギャングを嬉々として好演しているのも素敵ですよね。

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