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5000円の不幸

仕事終わりに職場の忘年会だった。朝5時前に起きて1日働いて、そのまま忘年会へ。職場の愚痴やら何やらかんやらを話しながら酒を飲み、最後の方は眠気と疲れと酔いで頭も回らなくなって、22時少し前にお開きになってお会計は1人5000円。正直、5000円分楽しい時間を過ごせたとは言い難い忘年会だった。

帰りの電車で恨み節をツイートしながら、たかだか5000円でこんなふうに思ってしまう自分が惨めでとても嫌だった。でも5000円だぞ。ドブに捨てられるような金額じゃあないじゃん。せっかくなら楽しく5000円使いたいじゃん。それは人として真っ当な感情じゃん。惨めな気持ちになる自分を自分で鼓舞したり、惨めを通り越して怒りを覚えたり、そんな自分にまた惨めさを感じたり。酔った頭で感情がぐるぐるしながら家に帰り着いて、シャワーも浴びずにさっさと寝てしまった。そんな日もある。

先月半ば辺り、セールで安くなっていた5000円の靴を、少し迷って諦めて買わなかったことがある。確かたまたま手持ちが少なかったか、給料日前だしなぁと思ったか、デザイン的に絶対欲しい!の一歩手前だったというのもある。しかしそれ以来、こんなふうに5000円を有意義に使えない出来事があると、こんなことに5000円を使うくらいならあの時あの靴を買っておけばよかったと悔やむようになった。たかが5000円、されど5000円。5000円という金額はセールで安くなっていた可愛い靴を買って、何年か幸せな気持ちになることが出来る金額なのだ。

5000円の不幸。5000円課金したガチャで爆死した時、5000円のチケット代で面白くない芝居を見た時、また居酒屋で不味い酒に5000円を持って行かれた時、僕は5000円の可愛い靴を想うのだろう。逆に5000円で最大限の幸福を味わうこともあるだろう。例えば5000円で美味しいものを食べた時、5000円で可愛い服を買った時、少し遠くに出かけて楽しい時間を過ごせた時、気の置けない友人と居酒屋で楽しく飲んで5000円を払った時……5000円で得られる無上の喜びもたくさんある。せっかくだからそういう機会を増やしたいものだ。

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