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春はハンチング

春はハンチング。春風に飛ばされぬよう目深に被って陽気に闊歩する。家に帰って帽子を脱ぐと、いつの間にか入り込んだ桜の花びらが1枚はらりと落ちたりするのもまた良い。

夏は麦わら。日差しを防ぐという帽子の本分を思い出す。帽子を脱いで頭の汗を拭いて、帽子でパタパタと顔をあおいで涼を取る。帽子に汗が染みて色が変わってしまうのは気持ちが良くないものだ。

秋はベレー帽。芸術家を気取って、ちょっと斜めに被るなどしてみる。日差しを防ぐでもなく暖を取るでもなく、ただのファッションアイテムとして使われる帽子はどんな気持ちなのだろうと思いを寄せたりもする。

冬はニット帽。耳まで隠して冷たい風を防ぐ。電車で蒸れて、一旦脱いで頭に冷たい風を入れた時の心地良さ。先っぽにポンポンが付いているのは、小さい子が被っていてもいい歳した大人が被っていても可愛いなと思う。

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