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「だからといって私の映画作りの邪魔はさせない!」

私がオランダを去ったのは政府の委員会が私の映画に金を出そうとしないからだ。奴らは私を俗悪で変態で退廃した人間だと決めつけている。それはたぶん事実だろうさ。だからといって私の映画作りの邪魔はさせない!

――ポール・バーホーベン
(オランダ・アムステルダム出身の映画監督)

今日は、ちょっと刺激的な言葉ですね。一文目を読む限り、尋常でない様子が感じられます。
それはともかく、今日の言葉で注目してほしいのは、どの部分だと思います?
最後の一文?
「私の映画作りの邪魔はさせない!」
誰が何と言おうと、それが政府だったとしても、自分のやりたいことを決して曲げるつもりはない。確かにこれは、信念と決意がうかがえる力強い言葉です。
ですが、僕の心に響いたのは、そこではありません。
「それはたぶん事実だろうさ」
これは、なかなか言えない言葉です。

信念を持って前に進む時、それが新しい価値を切り拓くものであればあるほど、敵対する人たちと激しく対峙することになります。それでも前進し続けるためには、強い信念が必要です。
そんな時、自分を批判する言葉に対して「それはたぶん事実だろうさ」と言えるものでしょうか。それを言った後で、それでも自分の信じる価値に従って前に進めるものなのでしょうか。

ふと、自分を信じるというのは、意固地になって我を通すことではないのかもしれない、と思えてきます。他の価値観を認め、自分への批判すらも受け入れ、ただ、少しそこから離れてみる。自分の意志を貫くために。ぶつかるばかりが生きる道ではない。邪魔されないために、そこからいったん引いてみる、というのも、生き方としてアリだ、ということです。
すると、敵ばかりに見えていた世界に、実は味方もたくさんいるということが分かります。
僕自身、今まさにそういう立ち位置だったりするので、よく分かるんですよね。

Photo by Daniel Adesina on Unsplash

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