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テレワークコミュニケーションについて疾く書き連ねる

Housmartの鈴木です。

Housmartがフルリモートワーク体制に切り替わってから1年以上が経過しました。

今回、プレスリリースで取り上げていただいたHousmartがテレワーク下で行った施策の一部を背景とともにご紹介したいと思います。

フルリモートワークへの移行と課題

全世界的なコロナの蔓延を受け、Housmartは2020年4月から、勤務形態を完全にリモートワークに切り替えました。

もともと一部では、週1でリモートワークデーを設けていたことや、開発の佳境では数週間のリモートワーク等を実施していたこと、急ピッチでの運用体制整備により業務に関しては全く問題なく移行が完了しました。

意思決定のきっかけとしてはコロナの蔓延にはなるのですが、この意思決定を行った時点で、フルリモートワークで、解決不能な重大な問題が発生しない限りは、コロナの沈静化後も新しい勤務形態を継続をする心算で始めています。

そんなフルリモートワークの状況下で、10名の方に新しく入社をしていただきました。オンラインオンボーディングや立ち上がりのための施策などでの工夫を積み重ねた来たこともあり、問題なく入社いただき、非常にありがたいことに、新規で加入したメンバーで退職された方は現在ゼロとなっています。

また、業務上でリモートワーク前と比べて不便になった等の声も聞かれず、むしろ通勤時間が削減されたことや、柔軟に働けるようになった等のポジティブな面が目立っています。

そのような中で、Housmartとしては、現在フルリモートワークを撤回が必要な程度に大きな課題については顕在化しておらず、この働き方はコロナ後でも継続可能であると判断をいたしました。

一方で、現在の勤務形態が完全無欠で最高の働き方かというと、そうではなくて、現在のHousmartでも潜在的な課題としてコミュニケーション不足があげられています。

もちろん各部門ごとに、朝会、夕会をはじめとした雑談まじりのショートミーティングを実施していたり、事業単位でも週に数回、複数チームを交えたミーティングを実施しており、狭義の意味でのコミュニケーションの課題は、ほぼ存在しない状況にあります。

一方で、Housmartは、バリューとして「One Team」を掲げており、自分の仕事、自分のチーム、自分の関わる事業がよければOKという組織ではなく、様々なポジションで活躍しているメンバーが、それぞれ全社最適に動くことで、大きな課題を解決することを是としています。

それを実現するためには、普段の業務に限らず、Housmart全体でどのようなメンバーが働いていて、それぞれがどんな強みをもち、どんな課題を抱えているかを知らなければなりません。

リモートワーク前は、常に顔を合わせており、メンバー間での関係値が一定程度築き上げられてきたこともあり、現状ではセクショナリズムの発生等による課題は顕在化していないのですが、リモートワーク下での新入社員が増えてくると、顔を合わせたことのない社員が増え、「One Team」が阻害される(可能性がある)という課題を潜在的に抱えていると捉えました。

そのため、全社的なコミュニケーションを活性化し、社員同士がお互いを知り、それぞれの業務を理解することで、潜在的な課題が顕在化しないように様々な施策を実施しています。

施策の失敗と成功

施策を実施していく中で、成功した施策、失敗した施策が色々とありました。

成功した施策
■ 共有会
チームや年次を一切無視した社員5名+ファシリテート1名でグループを作り、グループ内で今月やったことを共有し、良いと思った発表をグループ内で他薦し、選ばれたメンバーは、全社員の前でその内容を共有するというもの

■ ごちゃまぜ1on1
チームや年次などを一切無視した社員2名の組み合わせを複数作り、自由に会話を楽しむ1on1を15分 * 2セット実施するというもの

失敗した施策
■ 勉強会
業務終了後に、有志の人が自分の得意なテーマ、教えたいテーマで、メンバーに向けて勉強会を実施するというものです。

■ 雑談スペース
テレビ会議ツールを利用して、誰でも入れる雑談スペースを設けました。
誰でも1クリックで部屋に入ることができ、今誰が部屋にいることがわかることが特徴です。

成功と失敗の要因の分析

まずは失敗を定義します。

私はコミュニケーション施策においては「定着しない」「効果がない」のいずれかの場合に失敗として定義しています。

今回、失敗した施策は、いずれも「定着しない」ことが要因だったように思います。

勉強会については、定時外の実施ではあるものの、各回10人弱が参加する等十分な参加者の確保ができ、かつ知見の共有やコミュニケーションの活性化にも繋がるあったのですが、コンテンツを用意する開催側の負担が大きいこと等もあり、継続開催(定着)には繋がりませんでした。

雑談スペースについては、5分ぐらいカジュアルに話すこと自体は楽しいという評価だったものの、人によって隙間時間が異なることや、雑談をしていることが全員から見られることへの精神的ハードルがあるためか、そもそも数人しか利用せず、また日を追うごとに過疎化が進み、やはり定着には至りませんでした。

成功した(と評価している)2つの施策である共有会とごちゃまぜ1on1の共通点としては、全社MTGの中の1コンテンツとして取り入れているという点です。名前の通り、全員参加の定期MTGとなりますので、ある意味で強制的に定着させる形になります。

施策を検討する段階で、意味のあるものにするためにしっかりと検討を重ねていたため、定着さえしてしまえば、しっかりと期待する効果を出すことができます。

枠さえ作れば後はなんとかなるだろうということで、定着のための検討や仕掛けについての見通しが甘かったことが、一番の失敗の要因だったと考えます。

強制参加の甘え

施策の一番の難関である定着について、全社MTG等をはじめとした全員参加の場で実施することで半強制的に定着させることができることがわかりました。

これで施策を打てば、全て定着させることができて、何をやっても大成功だ!とはならないのが難しいところで、日常業務で忙しい中、貴重な時間を割いてもらって集まっている全社MTGはとても貴重な時間で、その中で出来ることは限られています。

そのため、既存の施策に加えて、新たな施策を積み上げようとすると、強制参加に頼らない定着の仕組みを図らなければいけません。

定着しないリスク

私は(そして会社も)基本的には、仕事に失敗はつきもので、しっかりと計画をして実行した結果の失敗であれば、反省を次に活かせば問題ないと考えているので、失敗には寛容なのですが、こと社内向けの施策については、失敗が許される回数は限られており(しかも既にだいぶ消費しており)、やってみなはれ精神で物事を進めるのは非常に危険だと考えています。

導入したツールの失敗、1回やっていつの間にか消えた施策等、どこの会社でもよくあることだと思うのですが、社内的に鳴り物入りで進めたものが次々と失敗していくと、社内的に「次もどうせ失敗するんだろ」というようなシラケ感が出てしまい、そうなると、新たな施策を打ったときに周囲を巻き込んでいくのが難しくなってしまいます。

そのため、社内に向けて、特に大々的に実施する施策については、数打ちゃ当たるの思想ではなく、定着しないことで生じるリスクを認識の上、しっかりと検討を重ねた上、短期間での振り返りと軌道修正を繰り返して、成功のためにコミットをする意思が求められるように思います。

施策の評価軸の導入

前述したように、いくつか成功している取り組みはあるものの、まだまだ社内コミュニケーションを活性化する余地はあると考えており、現在、新たな施策を実施しています。

施策を実施するにあたり、数打ちゃ当たるではなく、より効果的で定着可能性の高い施策を実施するために、洗い出した施策を以下の軸で評価し、実施する施策を決定しました。

密度
密度は、少人数かつ双方向であること、1回の時間が長いほど密度を高と評価します。

頻度
頻度は、毎日だと「高」、週1だと「中」、月1だと「低」

心理的受容性
心理的受容性は、準備が不要で時間の縛りもない「高」、準備が不要で時間の縛りがある「中」、準備が必要で時間の縛りがある「低」で判断します。

定着可能性
定着可能性は、強制力があるなら「高」、参加が想定される人数が全社員で強制力がないなら「中」、参加が想定される人数が限定的で強制力がないなら「低」

上記の軸で既存の施策を評価したところ、以下となりました。

■ ごちゃまぜ1on1
密度:高 / 頻度:低 / 心理的受容性:中 / 定着可能性:
■ 共有会
密度:中 / 頻度:低 / 心理的受容性:中 / 定着可能性:
■ 勉強会
密度:低 / 頻度:低 / 心理的受容性:低 / 定着可能性:中
雑談スペース
密度:高 / 頻度:高 / 心理的受容性:高 / 定着可能性:低

強制力があるごちゃまぜ1on1、共有会は定着可能性が高と評価され、成功しました。コミュニケーションの密度も高く、施策としての効果は高いのですが、全社MTGという限定された場でしか実施できないため、頻度が低いため、これだけではやはり不十分。

勉強会は、全社員が参加可能なため、定着可能性は中と評価されるのですが、資料を作り、当日レクチャーする開催側に負荷がかかるため、心理的受容性が低となり、安定開催が難しく定着はしなかったのですが、参加者の集まり自体は悪くなかったので、やり方次第では定着も可能だったかもしれません。

雑談スペースは、評価だけ見ると悪くはないのですが、日中は会議や往訪なども多く、同じ時刻にツールを使って雑談することのできるメンバーが限定的だったこともあり、定着可能性に欠点がありました。

新規施策について

色々とアイデアは出たのですが、まずは定着を重視して、全社日報という施策を実施することにしました。施策としての評価は以下です。

全社日報
密度:低 / 頻度:高 / 心理的受容性:高 / 定着可能性:中

内容は非常にシンプルで、業務終了時に、Slackから簡単に今日やったことと、何か一言を投稿してもらうというものです。

業務の報告をさせ管理するという目的ではなく、どんなことを行なっていて、どんなことを考えているかを発信してもらうことで、他社の仕事を知りOne Teamを促進することに加え、何か一言に対する突っ込みによるコミュニケーションの促進という意図があります。

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せっかくの施策なので出来るだけ事務的にならないように、楽しんでもらいたいので、毎日の投稿は義務化はせずに投稿を促進する形で導入をスタートしました。

まだまだ2週間目なのですが、色々な方の協力や、細かい工夫を経て、1日あたり全社員の25%が投稿してくれるようになってきました。

全員の前で投稿することにややハードルを感じている人もいるのですが、それなりに楽しくみてくれているようなので、引き続きしっかりと定着させるために、取り組んでいきたいと思います。

この施策の詳細もいつか書くかもしれませんが、あまりにも長くなったので、ここまでとしたいと思います。


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