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しっかりと海外事業を失敗させる方法|SaaS編 その1

「おいおい、そこは『成功させる方法』だろ!」という声は、聞こえてきません。なにせnote初投稿ですから。

noteという意識高い系メディアにおいて、意識高いことを語りたい自己顕示欲は強いのですが、残念ながらそんなネタないわけで。若い人の投稿を見ていると、皆さん若くして凄いなぁと思うわけです。

わたしの場合は、約15年ちかく海外や国内事業の立ち上げをやってきたので、きれいに失敗事例が積み上がってます。正確に言えば、撤退戦もやってるので、「立ち上げ」と「座り下げ」というのが本当です。こんなこと書いてて思ったのは、職務経歴書に「座り下げ」書いている人っていないですね。「Hey men、I am ビジネスデベロップメント」とか言う人より、「拙者、事業の座り下げの達人でごわす」とか言う人のほうが、わたしは好きになってしまいます。

ここにあるのは、場末のスナックでカウンターの端にすわり、誰にも聞かれない壮大な愚痴を語っている痛い奴です。

「日本で勝ったら、次は海外だ!」で海外は来ない

わたくし、これまでいろいろな海外事業やってきましたが、こういうトップがいる時は苦労しました。

趣味で、「事業会社の海外責任者の会」っていうのを開いてるんです。そこそこの会社の役員とか来るんです。んで、この話すると、みんな首がもげるくらいウンウンって。おじさんが、そろってヘッドバンキング。ちなみに、日本酒のみながらあたま振ると酔いますね。浦霞が脳内に張り巡らされて、話も足も前に進めなくなる。

こうした社長のいる会社でよくあるのが、「日本で勝ったら」が永久に来ないパターン。勝ち負けで言えば、みんな勝ってるんです。負けてたら、海外事業部なんていうお荷物かかえません。

ただ、なにをもって「日本で勝った」というのかを決めてないので、ずーっと国内で戦ってます。ナビスコカップ優勝とかJリーグ3回優勝とか。こういう明確な目標が会社競争にはないので、勝ちがわかりにくいんです。

ドコモさんとかはたから見てれば圧勝してると思うんです。逆にエースコックさんとかヤクルトさんとか、日本では勝ちきれてない会社(定義ない悪口ですみません)のほうが、海外が国内を上回ってたりしますからね。

「海外チーム、予算極貧でゴメンな。日本で勝ちきったらドドーーンと行くから」、このセリフ回数が3回を超えたくらいから海外チームは副業をはじめます。小遣い足りないから、バイトです。

本業とほとんど関係なくて、人件費だけでまわる副業。人材・企業紹介とか物販とかコンサルとかで売上つくるんですね。社長はその心意気と売上に喜ぶんですが、どこかのタイミングで冷静な幹部(CFOあたり)が、「そもそも、なんで海外やってんでしたっけ?副業のため?だったら国内集中でよくないですか?」とかまっとうなツッコミして、海外事業は終焉をむかえます。

「日本の衰退にそなえて、海外に布石」は、墓石となる

「日本って衰退するじゃん。だから、インドネシアとかベトナムとか成長している国に手を打っとけば、俺ら将来安泰じゃん」

そのとーり。そのとおりすぎて、ぐうの音もでない。でも、みんなが思いつくんです。

山手線混んでるから京浜東北線に乗り換える、と考えて乗り換えると京浜東北線激混み、みたいなやつ。東南アジアは、中国、韓国、アメリカとの取り合いですから、結構混んでるわけです。でも、日頃から車通勤のひとは感覚わからない。

もっと大変なのが、「成長しそうな国」とか「成長している国」って、いまはまだまだ小さいんですね。だから、なかなかお金払ってくれない。ましてやSaaSなんていう目に見えないものは、もはや空気。商談時には「Windows OSすらタダなのに、なんでお前みたいなやつに!」という圧を喰らう。

これって、山手線(14両)や湘南新宿ライナー(14両)から人が流れ出てきて、京浜東北線1両編成(市場規模)に乗る感じです。もうインドの電車。きれいなオブジェです。

インド電車

一人あたりGDPでみれば、インドネシアは日本の10分の1、ベトナムは13分の1くらいですから、まぁ車両比率はそんなもんです。

そこに送り込まれた駐在員はどうなるかというと、けっこう墓石となります。数字作って、将来は日本の本社幹部!など遠い夢、フィールド・オブ・ドリームスなわけです。

だって、日本本社では、インサイドだ!ナーチャリングだ!カスタマーサクセスだ!とか難しい言葉と数字をガンガン作ってる。その横で、インドの満員電車に乗って、まずは呼吸する場所を探してるんですから。しまいには、社内のイキってる国内チーム若手から穀潰しと言われる。自分もがっつり言われました。

見事だな!しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな!

こんなときは、ランバ・ラル大佐になりたい気持ちをグッと堪えて、マ・クベくらいニヒルな笑顔を浮かべるのみです。

こんなインド列車に加えて、安い物価、そこそこの住宅手当やハードシップ手当、日本より2段近くあがる肩書、若くてチヤホヤしてくれる女の子という誘惑。プライベートが充実しちゃう。人間つぶれます。日本もどれません。墓石完成。

「日本の衰退にそなえて、海外に布石」だけで海外出ちゃうと、御影石の墓石が出来上がるんです。

とか偉そうに言いながら、わたくし

安い物価、そこそこの住宅手当やハードシップ手当、日本より2段近くあがる肩書、若くてチヤホヤしてくれる女の子

にあこがれて何度も海外駐在に手を上げました。でも落選の日々。「ニホンニノコレ」との通達。だから、もう駐在員への嫉妬しかない。

なんか、つらつら書いてたら愚痴っぽくなったので、続きは別に書きます。いつか。

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